retaliation ページ22
「ふうん……てっきり強制退会されてるとでも思っていたのに」
私は独り言を呟きながら、キーボードを、スマホを操作する。
私が開いたのは、「アカウント退会」の画面。
「まさかこんなに上手くいくなんてね……」
パスワード。退会理由。
それらを入力。そして「退会する」の文字をクリック、そしてタップした。
・
「……さようなら。A美、そしてZ氏」
・
−−全てが終わると私は起動していたパソコンを閉じ、スマートフォンの画面をスッとなぞった。
そして嘲るような声で呟く。
「私があの騒動を許した?……そんなわけが、ないじゃない」
そう漏らすと、腹の底から色々な感情が湧き上がり、混ざり、それは笑い声となって無機質な部屋に響く。
−−私は占ツクのユーザー達に陥れられ、苦しめられた。有りもしない罪を着せられ、汚名が飛び交い、嗤われ、貶され、向けられた矛先がどれほど痛く熱く、どれだけ地獄の苦しみを味わったか。
築き上げたものを全て失った悲しみ。画面の向こうで今も私は笑い者とされているのではないかという恐怖。これらは私を、壊した。
許すわけがない。許せるわけがない。
私はこの怒りを糧に、「A美」と「Z氏」という新たなアカウントに全てを託した。
「めるる子姫」の才能、注目度、冷静、文才、人望。全てをA美とZ氏に分け与え、そして全てのシナリオを考えた。
彼女達の「炎上商法」による、最高のシナリオ。
私はこの1年間たった1人で、性質の真逆な"2人の作者達"を演じ続けてきた。
A美とZ氏のそれぞれの性格。実力。そしてお互いを憎んだ気持ち。
これらは全て、フィクションだ。
−−そう、全て。
そして「占いツクール」という舞台で、このフィクションを実現させた。
全てはこの私、「めるる子姫」のために。
これはユーザー達への「復讐」だ。
そして同時に「めるる子姫」が復活するまでの、最高の舞台だ。
私は決して許さない。
これからもこの怒りが消えることはないだろう。私は私を苦しめた占ツクユーザー達を恨み続ける。
その贖罪のために、せいぜい「めるる子姫」へと跪くまでだ。
「フフ……あははっ……!」
−−占いツクール。
此処は私にとって素晴らしい場所。
そう、とっても。
「……これからも、楽しませてね」
−−
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ゆいな(プロフ) - おもしろいです…! (2020年8月12日 13時) (レス) id: ec54d11116 (このIDを非表示/違反報告)
キノコズ(プロフ) - なんか…凄い面白いですね!伏線とか読者を引き込む文才とか…凄いです! (2020年8月9日 19時) (レス) id: 35a7a6037b (このIDを非表示/違反報告)
麗央 - 何これすごい(語彙力) (2020年8月7日 19時) (レス) id: a26488cf8d (このIDを非表示/違反報告)
あーもんどちょこ(プロフ) - 凄い惹き込まれました!!文章が上手だし、何よりストーリーが面白かったです!どんでん返し最高でした!! (2020年8月5日 14時) (レス) id: e001adff61 (このIDを非表示/違反報告)
佳奈(プロフ) - やば面白すぎる (2019年5月10日 23時) (レス) id: 72a41fa588 (このIDを非表示/違反報告)
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