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Side Yuri
「離せよ、バカ宏太！」
子どもじみた悪態をつく雄也の手首を捉え、宏太がその手の甲にキスを落とす。
慌てて振り払おうとした雄也を一層強く抱き込んで、咎めるような口調で告げながら。
「…指輪しとけって言ったよな？」
「む…向こうでは…してる…っ」
「だぁめ、もう外すな。」
「や…ちょ…っ…やだって…」
手の甲から指へと唇を伝わせ、一本ずつ指先にキスをする。宏太がしているのはただそれだけなのに、雄也の声は段々と弱くなる。
僕が一度だけ見た、チェーンに通されたあのリングが、宏太の言う「指輪」なのだろう。
正解だと言わんばかりに宏太が雄也の胸元をまさぐり始め、抱えられた体は頼りなく抗った。
「こんなとこにぶら下げてないで、ちゃんと指にしろって言ってんの。」
「も…さわんな…って…」
「首輪のないワンコはどうなるんだっけ？」
「いっ…いぬじゃ…ないし…っ…」
「なぁ、どうなるんだっけ？」
「しらな…っ」
「あーあったわ、雄也の首輪見っけ♡」
シャツの中へと入り込んだ手を追い出そうと必死な雄也とは反対に、宏太は余裕たっぷりで悪戯を止める気配もない。
きっともうこれ以上見てはいけない、本能は僕にそう知らせる。それなのにどうしても目を離せなかった。
「くすぐりっこしてるのー？」と無邪気を装って部屋に入り、邪魔する事だって出来た。
でも、それを放棄しドアの隙間から覗き見る。
そんな自分に自己嫌悪しながら、宏太の腕の中で身を捩る雄也に魅入られていた。
「色っぽい」という言葉の意味を、僕は初めて知ったのだと思う。当然のように雄也を腕に抱く宏太の姿にギリギリと胸が痛むのに、蕩けていく雄也を見ていたい欲の方が上回る。
そんな不埒な僕の願いを叶えるように、二人の熱も加速していくようだった。
いやだと振り向いて抗議した雄也に、待ちかねていたように宏太が顔を寄せる。
僕の位置からは死角になっているけど、キスが始まったのは明らかだった。
ふらついた体を受け止めるように背中を抱かれれば、雄也も諦めたようで、映画のワンシーンのように二人のシルエットが重なる。
さすがにこれ以上の覗き見は悪趣味だと、ようやく理性が働く。泣きたいのを堪え、その場を離れようとした時だった。
「……っ⁈」
突然口元を塞がれ、背後から抱きしめられる。
女優のように白くて長い指、花束のように香る香水。振り向かずとも、それが慧ちゃんだとすぐにわかった。
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みもたま(プロフ) - コメントありがとうございます！お店の開店に超豪華なお花を届けて頂いたような恐れ多い心境です。閉店にならないように頑張らねばー！（限られた品しかない、マニアックな店ですが…） (2019年11月8日 23時) (
レス) id: f91d6da0d1 (このIDを非表示/違反報告)
Purple Swallowtail(プロフ) - 移行おめでとうございます！高校時代も含め今のみんながどんな風になっているか楽しみにしてます！大ちゃんも登場(^ ^) (2019年11月8日 18時) (レス) id: 73ae1288ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みもたま | 作成日時：2019年11月8日 18時
