不機嫌な彼を攻略するには

体温計 ページ19

としみつsaid




しばらくして、この間送った家の前まで着いた。

タクシーのドアが開いて降りようとすると、まだふらふらするのか、また倒れそうになる。

お金を払って、俺も降りる。

荷物を持って、身体を支えると、また申し訳なさそうな顔。




『ご迷惑ばかりかけてしまって、ほんとにすいません…』


と「うるさいから、もうすいませんって言うな。」


『……』




とりあえずベッドへ運ぼうと、少し気が引けるけど家の中まで入ることにした。

大丈夫です、とか言ってるけど、1人じゃ歩けてないし、玄関で倒れられても困る。

鍵を開けて部屋に入ると、女の子特有の甘い香り。

部屋は綺麗に整理されていて、なんだか想像通りだった。

ベッドにゆっくりと寝かせる。




と「水、飲める？」


『ありがとう、ございます。』




ペットボトルボトルを渡すと、力が入らないのか、なかなか開けられない様子。

蓋を開けて、もう一度渡すと、ふわっと笑って少しだけ水を飲んだ。

熱があるからか、なんだか普通の女の子、に見える。

いつも気、張ってんだろうな。




と「体温計、どこ？」


『えっと…そこの棚の中です。』


と「ん。」




体温計を持って、熱を測るように言うと、少しだけ躊躇う様子。




と「ほら、測って。」


『いや、あの…熱ないですよ…？
明日も皆さんのお手伝い、ありますし…寝たら治ります。』


と「ばか。
ぶっ倒れときながらよくそんなこと言えるな。
早く測って。」


『……はい、すいません。』




ピピピと音が鳴って、体温計の数字を見て一瞬息をのんで、すぐ隠そうとした。

やっぱり、かなり熱あったんだ。




と「見せて。」


『や、大したことないです…』


と「じゃあ見せられるだろ。」




弱ってるこいつから体温計奪うなんて簡単で、画面を見ると「39.0℃」

は？

39度もあって、今日一日あんなに働いてたのか。

頑張りすぎなんだよ→←お前、熱あるだろ

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