熱烈な嵐の如く ページ7
大和撫子を体現する美少女と西洋人形のような美少女の円舞。
それを見て嫌な顔をする男はまず存在しなかった。
2人のファンである乙女は
婦人は過去を懐かしむように、優しく見守っていた。
1部少し眉を顰める人間がいたのは間違い無いのだが、胡蝶の家柄相手にどうこう言えるような人間もまた、存在しなかった。
踊り終えた2人が満足そうに、微笑み合う様子を見て胸を高鳴らせる乙女達は少なくない。
ここで2人の間に入ろうものなら、野暮というものだろう。
なのだが、
「実に美しく見事な円舞だった!! 素晴らしかった」
乱入する猛者がいた。
「
「これは失敬、いかにも私は煉獄杏寿郎です。お2人の邪魔をしてしまうのは気が引けたのですが、あまりにも素晴らしかったもので」
瞬時に庇うようにカナエの前に出つつも、家柄の関係上、Aはカナエに変わって煉獄を相手取ることは出来ない。
「胡蝶カナエですわ」
「御機嫌好う、煉獄さま。私は藤咲Aと申します」
それから、両親や家を褒めるなどの社交辞令が続いたのだが、Aには煉獄の腹の底が読めずにいた。
それも仕方がない
「時に藤咲嬢!」
「はい、なんでしょう」
「どうやら俺は貴女に心を奪われたらしい」
「は」
「まぁ」
「藤咲家令嬢に婚約者は未だいない筈だ。どうだろう、俺の妻になっては頂けないだろうか」
急に妻問いをしてくるとは誰が予想できようか。
勿論こんな物語のような話を見聞きして放っておく乙女はいない。
浪漫ある恋話として、乙女達により背びれ尾びれが付き、今後密かに語り継がれる煉獄少年の黒歴史爆誕である。
「まぁ。彼女に惹かれるとは流石煉獄さま。見る目がありますわ」
予想外の事態にすっかりフリーズしているAを見て、今度はカナエがAを庇うように前に出る。
これを見た野次馬乙女達の妄想が加速したのは云うまでもなし。である。
「そう警戒しないで頂きたい。困らせたい訳では無いのだ。他に意中の殿方が居るならば、無理にとは言わない」
眉を下げて寂しそうに笑う彼に一瞬カナエも思わずたじろいだ。
再三述べるまでもなく煉獄杏寿郎というのは美男子である。
端的に言えば顔がいい。
しかも歳下。
そんな彼の健気ささえ感じるような微笑みに、思わず身を固くするのも無理はないだろう。
18人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひよこまめ | 作成日時:2019年12月10日 19時