【ネタ】テンプレ夢主が作者の物語を叶えるまで

インターバル 担任教師 ページ4

「ありがとうね、夜彦」

少し腰を落とし覗き込むような上目遣いで見つめたのち、無邪気な笑顔。別れ際に可愛さという名のアッパー右ストレートを放つ。
……悪足掻きとも言う。

「別に大したことはしてないだろ。また放課後な」

顔色1つ変えずにただ手を伸ばされ、さらりと優しく長い指が髪を梳いて、ひらりと揺れて離れていく。……くそ、少しくらいデレっとしろや。母より賜った人間離れの美貌が泣くぞ。
手強過ぎないか。

不貞腐れながらも職員室へと入り、担任の先生の元へと向かう。

「本日転校して参りました、2年の雛瀬です。七瀬先生はいらっしゃいますか」

水を打ったように静まる室内。全ての視線が私に一点集中しているのを感じる。

「先生?」
「あっ、あぁ。七瀬は俺だ。態々悪いな転校生」

……あぁ。そうだった。私の声は鈴を転がしたような精霊のこぼした言霊かと聞き間違う程のスーパー可憐なものだという設定なんだよ。そんな声が鳴って、顔を上げれば小柄なこの顔面黄金比率が待ち構えてるんだよ。そら固まるわな。

夜彦があまりに平然と対応するから忘れそうだったが、これが本来の反応だ。少し安心して無意識に微笑んでいたらしい。

「雛瀬、悪いことは言わん。そう簡単にその顔するなよ。高校男児はすぐ勘違いするぞ」

「えぇっどういう意味ですか!! そんな酷い顔です?」

勿論わかっていてだ。私はこの美貌も澄んだ声も無自覚に振り撒く任務があるのだ。忠告頂いたところ悪いが、辞める気は無い。

「成程ねぇ、雛瀬さては中々にやるな? 程々にしとけよ」

「初対面から失礼ですよ、もうっ。セクハラで訴えてやりますよ」

ムッとしたように小さな唇を結び、頬を膨らませば

「そいつは勘弁。悪かったって。あと10分くらい時間あるから奥のソファーにでも座ってな」

肩をすくめると、眉を下げて優しく笑う。
あぁ……これは愛される先生だ。いい先生だと勘が言っている。母のストライクゾーンからは外れているのでまぁ、禁断の関係に発展させる必要が無いのは有難い。是非ともこの先生とは良い関係を築きたいところだ。

「失礼します!!ななちゃんせんせぇぇっ。終わったぞ、ほら!! 課題終わらせたから部活行って、っだぃ、痛い」

ソファーへ向かおうとしたその時。嵐がやってきた。入室するや否や先生のデスクへと一直線に飛び込んできた橙頭は、先生のバインダーで叩かれる。

「職員室で走ってんじゃねぇよ、危ねぇだろうが。女子に突っ込むところだったぞ」

ＶＳ 原作主人公 1回戦→←ネタでしかない

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