◆ ページ49
(リヴァイside)
「……別に、気にしてなんていません」
Aは不貞腐れた子供のように頬を膨らませて、俺の目を見た。
「…リヴァイさんが素直じゃないことくらい、分かってますから」
そう、目を伏せて言うAに酷く安心して。
堪らずにAの細い肩を抱き締めた。
少しでも力を加えれば壊れてしまいそうな華奢な身体も、頬を竦める細い髪の毛も全て。
自分の気持ちに気づかない不利を止めるのであれば＿＿そう、素直に言うのならば。
全て、＿＿＿愛おしくて仕方がない。
「…リヴァイさん？」
胸の辺りから聞こえるAのくぐもった声。
Aは抱き締められたことに少しだけ驚きつつも、抵抗することは無かった。
…Aのこの身体を抱き締めたのは、5年前。
デノンとコットが死んだあの日、怪我だらけの身体で走ってきたAを保護した時。
生きていてよかったと、安心して、
Aがここにいることを確かめたくて。
今だってそうだ。
俺を選んでくれてたこと。俺の隣に戻ってきてくれた事を、Aの存在を、確かめたかった。
リヴァイ「…何でもねぇ」
ひとつ息を吐いて、Aの身体を離す。
このままだと言わなくていいことを言いかねないあげく、気が済むまで抱き締めてしまいそうだった。
きょとんとして見つめてくる無垢な瞳から目をそらして、口を開く。
リヴァイ「…ここ3日間のせいで書類も何もかも山積みだ。もう用件は終わった、さっさとやるぞ」
そう言い捨てると、Aはパチパチと瞬きをした後に無邪気に笑って隣に並んできた。
「…はい」
＿＿＿変わった奴だ。
まぁ、それを補佐に選んだのも、
…惚れたのも、
俺自身なんだがな。
自分でも少しだけ、口角が上がったのが分かった。
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年9月29日 19時
