仲直り ページ48
(リヴァイsideンジ「ほんっとうに、＿＿Aは君の事が大好きだよねぇ」
応接室の壁は大抵大事な話し合いをする時に使われる割には案外薄いもので、Aたちの話し合いはほぼ筒抜けだった。
Aは＿＿＿”自分の意思で”俺を選んだ。
Aの話に耳を傾けていた時、少しだけ自分が気にしていた”Aは選択の余地が無かったがために無理に兵士として働かせているのではないか”と思っていたわずかな胸のわだかまりが、溶けていくのを感じた。
…馬鹿だな。
信じておくと約束しながら、Aを1番に信じてやれなかった俺も。
屋上であんな約束を交わしたというのに、俺に突き放されても尚、俺を選ぶAも。
リヴァイ「あぁ＿＿＿知ってる」
俺はハンジの言葉に、静かに返した。
・
(Aside)
ヴィドとの話し合いが終わり、もう夜も更けたところでお開きとして私は応接室の扉を開けて＿＿驚愕した。
「り、リヴァイさ、」
応接室の扉が薄く、中の話が駄々漏れになることくらい5年間も在籍しているのだから知っている。ということは、私のあの覚悟による演説も、聞かれていたということだろうか。
目が回る感覚がした。単純に、簡潔に言うのなら、すごく＿＿＿恥ずかしい、に尽きる。
ヴィドは驚いている私とリヴァイさんを交互に見て、そっと私に耳打ちをしてきた。
ヴィド「Aが言ってた”大切な人”って、もしかしてリヴァイ兵長の事なの？」
実際そう尋ねられると思わず”違う”と返してしまいたくなるのは何故だろう。私は言葉をつまらせてヴィドを見たが、それをヴィドは肯定と受け取ったらしい。
ヴィド「…A、俺はここまでで大丈夫だから」
ハンジ「あっ、それじゃあ私が兵舎の外まで案内するよ。さぁ行こう、ヴィドくん」
変に気を使ったのであろうヴィドと、どこか楽しんでいるようにも見えるハンジさんが、私とリヴァイさんを置いて廊下を歩いていく。
あれ以来話していない私達の間の空気は重く、息が詰まるものだった。
「あ、の…聞こえてましたか」
リヴァイ「…筒抜けだ」
「…そうですよね」
…ああ、消えてなくなってしまいたい。
リヴァイさんがいると知っていたのなら、もう少し言葉を変えたのに＿＿なんて後悔に苛まれているとリヴァイさんが私の頭を撫でた。
そのあまりにも優しい手に驚いて顔をあげる。
リヴァイ「…すまなかった」
リヴァイさんの手から、掬った私の髪の毛がするりと溢れていく。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 164人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年9月29日 19時
