調査兵団の右翼と左翼＿season2【進撃の巨人】 (ページ45)

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◆ ページ45

考えがまとまらないまま、この時が来てしまった。

ハンジさんに連れられて応接室に向かう廊下を歩いていると、少し前にいるハンジさんが、躊躇うように口を開いた。

ハンジ「……A、答えはもう決まっているの？」

なるべく明るげに投げ掛けられたその問いに、私は言葉を詰まらせる。
やはり思い出されるのは、リヴァイさんの言葉。

ハンジ「リヴァイと喧嘩したんだろう？
…何となく君達の様子を見ていれば分かるよ」

急に出てきたリヴァイさんの名前に肩を震わせると、ハンジさんは苦笑いをして言う。

ハンジ「私は君の選択にも君達の喧嘩にも、口を挟む気は毛頭ないけれど＿＿
5年間、誰よりもリヴァイの隣にいた君なら、彼がいつも素直じゃない事くらいは分かっているだろう？」

諭すようなハンジさんの言い草に、わずかに心が揺り動かされた気がした。

リヴァイさんが素直じゃないことは、知ってる。
でもあれは、嘘から出た言葉では無かったんじゃないか。5年間近くにいたからこそ、彼の言葉は私にとって重いものだった。

ハンジ「きっと彼はこう言いたかったんだと思う。
＿＿＿”好きな方を選べ”、ってね」

リヴァイさんの真似をしておどけていうハンジさんは、ぱっと大人びた笑顔を浮かべて私の背中を押した。

ハンジ「さぁ、着いた。私が今君に言いたいこともリヴァイとおんなじさ。行っておいで」

いつの間にか着いた応接室の扉の前へと背中を押され、私は生唾をごくりと飲み込んだ。
ひとつ、深呼吸をして、私は振り返る。

「…ありがとうございます」

ハンジさんにひとつ、笑みを浮かべてから、私は応接室のドアノブを回した。

・

(ハンジside)

Aが応接室に入っていった後、遠くから小さな影がこちらに歩いてきたのが見えた。

ハンジ「…遅いよ、リヴァイ」

リヴァイ「…別に、会う気は元々ねぇよ」

本当に素直じゃない彼にため息をつきながら、応接室の扉にふたりでもたれかかった。

ハンジ「…凄いね、君は。私が君の立場ならAを止めてしまう。選ばれないことが怖くてね。
…でも止めないことが君の優しさだったんだろうけど、Aにとってそれが欲しかった優しさかどうかは分からないだろう」

リヴァイ「何だ、今さら説教か？どいつもこいつも今日は随分とうるさいんだな」

ハンジ「説教じゃないよ。ただ、Aが君の事を選んだ暁にはもっと素直になれってことさ」

私はため息をついて、部屋の中の会話に耳を研ぎ澄ませた。