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ハンジ「A、憲兵からよく食事行かないかとか誘われてるもんねぇ…まぁ我々のビジュアル担当としても参加して貰えた方が楽なんだけど」
エルヴィン「…我々はこういう場には慣れていないからな。ひとりでも場馴れしてる人がいた方がいいだろう」
隣ではリヴァイさんが、その鋭い瞳孔の中に僅かな心配を孕んで私の事を見つめている。
私はひとつ深呼吸をして、肩の力を抜いた。
「行きます、大丈夫ですよ」
ふっと、部屋の空気が緩む。
エルヴィン「それじゃあ明日、訓練後に出発する」
ハンジ「私着付けとかわからないんだけど、A頼んでもいいかい？」
「あ、はい」
トントン拍子で進んだ話はあっという間に終わり、やがて解放されてリヴァイさんと2人で歩く廊下の途中、リヴァイさんが呟いた。
リヴァイ「…あまり自分を犠牲にするなよ」
「…え？」
彼は立ち止まり、私の目を真っ直ぐに見た。
私はこの真剣な瞳に弱い。5年間連れ添ってきた上司はおそらく、その事を把握しているのだろう。何か大切なことを言うときはいつもこれだ。
リヴァイ「…お前は、人のために自分を犠牲にする質がある。おまけに我が儘も一切言わねぇ」
叱られているようで心配されているという事実に、頬が緩む。本当にリヴァイさんは、ここに来てからというものずっと私の面倒を見てばかりだ。
「…リヴァイさんが甘やかしてくれるから、我が儘言う暇もないんじゃないですか？」
おどけて言うと、意表を突かれたような顔をして目の前の上司はまたチッと舌打ちをした。
リヴァイ「…あんまり無理はするなよ。上官命令だ」
「……それなら無理は出来ないですね。了解です」
さっきまでの不安はどこかに消え、明日もリヴァイさんが一緒なら何故か大丈夫だという気が沸いてくる。本当に、不思議な人だ。
リヴァイ「…もう今日は仕事はないな？」
「…？はい」
リヴァイ「部屋まで送る。…今日は断るなよ」
ふいと顔をそらし歩き出してしまった上司の背中に慌ててついていきながら、また頬が緩んだ。
…リヴァイさんは、優しい。
私に優しくしてくれる度、心がくすぐったくなるのは＿＿
一体何故なのか。
そんなことを、ふと思った。
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年9月29日 19時
