招待 ページ34
「懇親会、でしょうか…」
次の日、私やリヴァイさん、ハンジさんを集めたエルヴィンさんは私達にとある招待状を見せた。
エルヴィン「そうだ。どうやら王都で、各兵団幹部と重要貴族達を集めた懇親会とやらを開く意向らしい」
ふぅ、とため息をつき少し面倒そうにエルヴィンさんは言う。面倒ではあるが、この狭い壁の中での狭い付き合いは大切にしていかなければならない。
＿＿＿が。
ハンジ「それって所謂正装をして行かないといけない感じだよね？ああめんどくさい！」
リヴァイ「4人も行く必要があるくらいでかい会なのか？」
隣に並んでいる2人が顔を歪めてエルヴィンさんに文句を唱える中、私は恐る恐る尋ねる。
「あの…重要貴族って、誰が来るんでしょう…」
もう10年も昔のこととなるが…私は一応シーナ出身の元貴族だ。昔はそれこそ懇親会等という名目で着飾ったパーティーに出席し、頭を下げて回らされた事だ。
ハンジ「あ、そっかぁ、Aは他の貴族とかとの付き合いもあったんだもんね？」
「…一応、ありました。と言っても私達レナルド家はフリッツ王とはかなり遠い親戚なので、シーナにいること自体良く思われては無かったですけど…」
ウォール・シーナは王と血縁関係のある者か憲兵団に所属している者しか移住権が与えられない特別な地であるがゆえ、住民同士のマウントの取り合いは激しかった。
だから私達レナルド家は大抵、頭を下げて回るしか暮らしていく術がなかったのだ。
おまけに、私は今兵士である。
ウォール・シーナの住民にとって立派な人間の基準とは、男は家の跡取りになること、女はより良い貴族の男性と結婚することにある。
兵士を自ら志願するなどもっての他、という考えが通っているので、シーナから訓練兵になる人など、ほとんどいない。いたとしたら町中で噂になり、家族も酷い扱いを受けるだろう。
エルヴィン「…誰が来るかは書かれてはいないが、かなり大きな集まりのようだからそれなりの家柄の貴族が一同集まるのではと思われるな」
リヴァイ「…別にお前は補佐という立場なんだから行かなくても問題は生じないんじゃないのか」
不安気な私を見かねたリヴァイさんが呟くと、招待状に目を通していたハンジさんが「でも」と反論する。
ハンジ「ぜひAさんも出席してほしい…って、憲兵からわざわざ手書きで添えられてるよ？」
「え！？」
私が驚きの声をあげるのと、リヴァイさんが隣で舌打ちをするのはほぼ同時だった。
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年9月29日 19時
