凡人、喜ぶ。 1 ページ22
なんというか、私は本当に推しに弱い。
何故弱いのかと問われれば、そりゃ顔がいいからだろうと答えられる。が、それだけではない。
何せ私の推しである千空パイセンは、人間としても素晴らしいからである。
「まさか千空から言われるとは思わんかったわ」
海辺で子供が大好きであろう燻製ベーコンと、大人のおつまみ鮭とばを数匹背負い籠へ詰め込んで千空達の元へと向かう。
前々から出来上がったたら披露しようと思っていたこの塩を用いた贅沢品だが、まさか千空に今日を指定されるとは思わなかったのだ。
本格的に冬になり始めたこの島国は今、シトシトと白い結晶が降り始めている。
私の知るところの日本じゃそれほど雪が降ることはなかったというのに、この時代の冬はそれこそ人が埋まるほどの雪が降りつもってしまう。3700年の月日はやはり途方もない年月だったのだと感情に浸りつつ空を見上げれば、キラキラとした光が瞳に映り込んだ。
「綺麗──。ってことは電球できたんだ」
雪が降り始めた降るの夜空、そこには現代人ならよく知るイルミネーションの光がある。科学使い千空がいたからこそまた見れた、科学の光でもあるといえよう。
「さて、急ごう。今日は家族みんなで過ごす日だ、千空と白夜さんの子孫、時を超えた家族の日。……ゲンは兎も角、私はお暇しようと思ってたんだけど、多分コレ焼けって言われるよなぁ」
元からぼっちで過ごす気だったのだがこれでは無理そうだとため息をはき、私は重い足を必死に動かした。
千空の元へつくと、何やらクロムがおかしな動きをしていたのだからそこは気にすることをやめスルーする。そしてイルミネーションを見ている村人の中からジャスパーとターコイズを探しだして声をかけた。もちろん二人を選んだ理由は元村長の幹部だったとを踏まえ、人管理するのに長けていると判断したからだ。
「すいませんが、コレとコレを焼いて配りたいんですかいいですかね?」
「ん? 嗚呼、別に構わんが、それは?」
「食べ物です。そしてお二人にも手伝っていただきたいのですが、いいですか?」
「それは構わないが、コハク達ではダメなのか?」
「若い子らはアレから目を離せなそうなので」
イルミネーションを知らない二人も目を離せなそうだが、わちゃわちゃと喜んでいる若い衆より落ち着きのある二人の方が頼もしい。

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るーかす(プロフ) - 好きすぎて一気読みしてしまいました!夢主ちゃんの人間性がブレてなかった感じがしていままで読んだ中で1番の夢小説でした!好きこその葛藤と諦めだったり、クスッと笑えるギャグを入れてくださっていて心揺さぶられる素敵な作品でした!別サイトでも閲覧失礼します! (2023年11月26日 0時) (レス) @page34 id: 85f3bd2ffd (このIDを非表示/違反報告)
無名 - 一気読みしました‼︎とても好きです!面白くて更新楽しみに待ってます‼︎ (2022年7月20日 18時) (レス) id: 7baaa43c79 (このIDを非表示/違反報告)
木の葉(プロフ) - 占ツクでも連載されていたんですね! 応援しています! (2022年3月31日 0時) (レス) id: 7a153d74d8 (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 好きすぎて読むのが止まらず気づけば朝よ…(後悔はない めっちゃ面白いです!更新待ってます! (2021年10月13日 6時) (レス) @page33 id: 01548bf821 (このIDを非表示/違反報告)
藤葱(プロフ) - あやめさん» 一気読み、ありがとうございます。他サイトでは更新しているのですが、如何もこちらのサイトと私の相性が悪く更新停止気味です。すいません。 (2021年9月27日 8時) (レス) id: cb3dd02309 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤葱 | 作成日時:2021年1月21日 22時