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塩崎「おい佐野！」
捜査一課刑事部屋で、塩崎が叫ぶ。
佐野「なんだよ？俺、今から柔太朗と捜査に出てくるから」
塩崎「その山中の事なんだけど、今日署にも来てないし、なんか連絡付かないんだよ。お前なら何か知ってるんじゃないの？」
佐野「え？」
そう言えば、今朝から山中の姿を見かけない。
いつもなら、自分よりも早く署に来てパソコンとにらめっこしているはずだ。
塩崎「スマホにかけても繋がらないし」
その言葉で、佐野も自分のスーツをまさぐってスマホを探した。
ない。
スマホがどこにもない。
佐野「あれ…？」
自分のデスクの上を見回し、置いてあるものを全て床に放り出し、引き出しもすべてひっくり返すように開けていく。
しかしどこにも自分のスマホの姿が見当たらない。
どこかで落としてしまったのか…。
だけど今はそれを、考えている場合じゃない。
佐野は自分の手帳を開くと、署の固定電話の受話器を取って、プッシュボタンを押し始めた。
一応、念のため、手帳にも重要人物の携帯番号は控えてあったのだ。
これで山中の携帯に繋がるはず。
しかし、いくらコールを続けても、彼は出ない。
寝坊なんてするだろうか…。
こんなことは初めてだ。
なぜか、嫌な予感がする。
胸騒ぎが収まらない。
佐野「お願いだ柔太朗…出てくれ…頼むから…！」
結局、留守番電話に繋がり、彼が出ることはなかった。
佐野は焦りで震える手で再び手帳をめくると、急いで違う番号にかけ始めた。
まさか、この固定電話用の番号にかける日が来るとは思ってもみなかった。
いつもは本人にスマホで直接かけていたから、新鮮だ。
本人のスマホに直接かけてもよかったのだが、"警戒心の強いあいつ"が知らない番号からの電話をとってくれるとは限らない。
だから、この電話に賭けるしかない…！
佐野「頼む…出てくれ…助けてくれ…！！」
佐野の願いが通じたのか、数回のコールの後、受話器の向こうで聴きなれない声が響く。
「もしもし！こちら、板垣探偵事務所です！」
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作者名：milkssss | 作成日時：2019年7月10日 18時
