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結局寝られなかった。
どうしたら穏便に問題が片付くのか。
チシヤのような頭脳があればあるいは、いい案が浮かんだのだろうけど。

ビーチサイドでなにやら話し込む悩みの種の当事者達を見つけ、声をかける。


「アリスくん、ウサギちゃん。」

「あ.....」


久しぶりに会った彼らはこちらに気付くと一瞬驚いた顔をして会釈をした。


「.....ども。」

「Aも、ここにいたんだね。」

「うん。そうなの、少し前からね。」


どうしてもアリスの顔色を伺ってしまう。
何を話そうか、そう迷っていると彼は消え入りそうな声で呟いた。


「カルべは.....死んだ。」

「...........うん。」

「もう1人の友達も.....」


強く握りしめた拳が震えている。
辛いのに一生懸命伝えてくれたのだなと、目頭が熱くなった。
こんなとき、なんと声をかけたらいいのか、自分にはわからない。


「Aちゃん。」


後ろからよく知る声が聞こえた。
天龍がゆっくりと歩いてくる。


「倫也さん、あ、こちらアリスくんと、ウサギちゃんです。この前のげぇむで一緒でした。」

「ああ.....君らだったんだね。はじめまして。天龍倫也です。Aちゃんの仕事仲間の。」


爽やかな笑顔の天龍が握手を求める。
彼のやわらかな雰囲気がその場の空気を少し軽くした。


「よ、よろしく.....」

「あ、そうだAちゃん、クイナが部屋で呼んでたよ。」

「クイナが?わかりました。アリスくんウサギちゃん、またあとでね!」


駆け足で去っていくA。


「アリスくん.....初対面でいきなり申し訳ないんだけど、ちょっとお願いを聞いてくれないかな。」

「お願い.....?」


天龍が真剣なまなざしでアリスに向き合う。
唐突に投げかけられた言葉に訝しげな表情をするが、聞き入れないわけではないようだ。
そんな彼にそっと耳打ちする天龍。


「.......わかった。」

「頼んだよ、アリスくん。」


神妙な面持ちのアリスはこくりと頷いた。



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おこめ(プロフ) - はーとさん» 勿体ないお言葉😭😭嬉しいです!チシヤの可愛い口、表現できてますかね…?!主人公ちゃんも反対の位置にほくろがあるんです(*' '*)気まぐれにイラストあげるかもしれないのでまた見てやってください🥹 (2023年2月20日 23時) (レス) id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
はーと(プロフ) - おこめさん» お大事に( ᵒ̴̶̷̥́ωᵒ̴̶̷̣̥̀ )てか絵が上手すぎません?!チシヤの口が可愛い‎🤍 ̖́-夢主ちゃんもホクロがあるんですね! (2023年2月20日 22時) (レス) @page45 id: f292a3492c (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - はーとさん» はーとさん、お心遣い感謝です(;;)リハビリも兼ねてゆっくり執筆していきますのでどうぞよろしくお願いいたします🐈💐 (2023年2月20日 22時) (レス) id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
はーと(プロフ) - おこめさん» 事故💦怪我が早く治りますように(T ^ T)更新も楽しみにはしてますが、無理せず頑張って下さい (2023年2月20日 16時) (レス) @page44 id: f292a3492c (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - ayaさん» ayaさん、いつもコメントありがとうございます!甘々チシヤ、完全に作者の好みなのですが、お気に召していただけたようで幸いです🐈大切に執筆している作品なのでそう言ってくださるととても嬉しいです( ´͈ ᵕ `͈ ) (2023年2月2日 22時) (レス) id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おこめ | 作成日時:2023年1月27日 1時

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