第七話�� ページ20
仁人「柔太朗、一体何があったんだ？この国に。それにその様子じゃただ事じゃないな」
柔太朗「あぁ…。実はこの城に、魔王が攻め込んできた」
太智「魔王が？！」
柔太朗「俺や父上、母上、城の兵士たちは魔王に応戦した。その隙に国民は皆、国外へ避難させた」
舜太「だから誰もおらんかったんか…」
柔太朗「しかし、奴は強すぎる…。城の中で生き残ったのは、俺一人だ…。父上も、母上も…兵の皆も…一瞬で殺された…」
仁人「なっ…？！それで、魔王は今どこに…？」
柔太朗「くっ…。どうやらそれを話してる暇はなさそうだ…」
柔太朗の視線の先。
割れた城の窓ガラスの向こうにそれはいた。
黒いマントに身を包み、空中に浮かんでいる。
「まだ仲間がいたのか」
その声は不気味に城内に響き渡った。
仁人「まさか、お前が…？！」
「俺の名は…"おちゃらけキュンキュン魔王"ハヤト」
太智「おちゃらけ？キュンキュン？本当に魔王かよ！ふざけた名前しやがって」
柔太朗「名前に惑わされるな…！あいつの強さは本物だ…！近寄ることさえできない！」
太智「ふん！そんなわけないだろ！まぁ見てろって！俺がちょちょいのちょいでやっつけてやるから！」
そう言って太智は魔王の元へ走り出す。
ハヤト「ほう、お前たちも勇者の力を持っているのか。いいだろう、そこの死にぞこない共々あの世に送ってやる」
柔太朗「バカ！！！やめろ！！！」
柔太朗の制止も聞かず、太智は一歩、さらに一歩と魔王に近づく。
しかし、太智の歩みは魔王に届く前にピタリと止まり、その場で声もなくばったりと倒れこんだ。
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作者名：milkssss | 作成日時：2019年7月15日 20時
