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「いやはや、君が社員さんだったなんてね」
「あはは…でも、さっきまで探偵社の下の喫茶店にいましたよね」
「え、そうなの?ただ、お茶してただけなんだけどなぁ」
とりあえずびしょ濡れの服をもう一度来てもらって、探偵社まで敦が歩いた道を歩いていく。
少し世間の目が気に為るが仕方がない。それに探偵社に着くまでに運が良ければ服が乾くかもしれない。半渇きの変なにおいがするだろうけれど。
女性と話しているうちに、いろいろなことが分かった。
まず、極度の方向音痴らしい。
話によると、家への帰り道も分からないままここらをさ迷い歩いているのだとか。
なんでも、ここ数年ヨコハマから出ていたらしく、道を忘れてしまった。
そこで、ホテルに泊まったりして過ごしていたけど、そのホテルに帰れなくなって、ポケットマネーで生活していたが、そのお金も先ほどのお昼代で全て飛んだらしい。
「それにしても、助かったよ。先ほどの入水で携帯のおじゃんにしてしまったようだからね」
あのまま放置していたらこの人はもしかすると、死んでいたかもしれない。
「よかったです。死ななくて」
「君、なんかたまに物騒だよね」
「あなたよりましです」
「え」
「ひっどいなぁ〜」と口をとがらせる彼女。
改めてみると、とてもきれいな人だ。
背も高く、敦と同じくらいか、少し高い。
黒く長い髪は肩甲骨のあたりできれいに切りそろえられている。顔面に少し垂れかかっているところがミステリアスな感じを誘発し、大人の魅力というものを感じさせる。
それに対照的な白い肌は、きめ細かく少しのくすみも感じられない。さながら雪国に振る粉雪。
さらに、そこに映える薔薇のように赤い、程よい大きさの唇。プルプルとツヤツヤが『思う存分堪能しなさい』というように存在感を主張してくる。
__ここまできれいな人だ。うん、太宰さんが心中に誘うのもうなずける。
「どうしたんだい少年」
「へ?」
「いや、食い入るように見られたらさすがの私も気が付くよ」
吃驚した。
そうだ、此の人しゃべり方が太宰さんと似てるんだ。
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みぃ(プロフ) - 紅羽さん» コメントありがとうございます!頑張ります! (2019年1月18日 22時) (レス) id: 48f4ee6765 (このIDを非表示/違反報告)
紅羽 - とっても面白いですね!更新頑張って下さい!応援してます! (2019年1月11日 20時) (レス) id: a17c6e8d22 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - yamamia38さん» こちらこそありがとうございます! 更新遅くて申し訳ございません。これからもよろしくお願いします! (2018年12月18日 18時) (レス) id: 48f4ee6765 (このIDを非表示/違反報告)
yamamia38(プロフ) - ヤバい!面白いですね!投票とお気に入り追加させていただきました!太宰さん推しだから嬉しいです。有難うございます! (2018年12月16日 22時) (レス) id: bb32575fc9 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 青森県と大阪府さん» コメントありがとうございます!ちょっと今日本にいないので更新はできないので、ごめんなさい。勧めてまでくださり…照れます。これからも、よろしくお願い致します。 (2018年10月23日 23時) (レス) id: d688bcfef3 (このIDを非表示/違反報告)
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