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「あのう、生きてますか？」
救急車を呼ぶ前に、一応声をかけてみる。
「ぁ…ん…ぅあ？ ごふぉ、ごほっ、おえ…くっさ」
案外簡単に起きてくれた。
「えっと…誰？」
「あ、助けたものです」
「そ」
塗れた長い黒髪から川の水が滴り落ちる。
水も滴る…とはいうが、川の水ではなんのロマンスも生まれない。
白いコートを無造作に脱ぐと、放り投げた。
＿＿え？いや、放り投げるか？普通。
「…えっと」
「いいのいいの、あとで捨てるから」
そういうとおもむろに靴や、コートの下に着ていたベストなども脱ぎ、同じところに放り投げた。
ワイシャツとスラックスになった状態で彼女は土手に寝っ転がる。
なんという自由奔放さなのだろう。
全てを投げ出したような解放感、それになぜか、すべてを包み込むような包容感まで感じた。
なんというか、大御所感。
敦は何をするわけでもなく、突っ立っていた。
「はぁ…まあ、助けてくれてありがとう」
「あの、なんで流れてたんですか？」
「人探し」
「人探し？」
「そう、人探し…もう４年も会えてないのだよ」
＿＿それって、逃げられてるんじゃ。
いや、でも４年じゃあ、もうその人は。
「死んでるわけじゃあ、ないみたいなのだけれどね」
そう言った女性の顔は、とても優しい顔をしていた。
＿＿一寸待った。
敦は流されかけた思考を元に戻した。
危ない危ない。武装探偵社にいたら、人探しに川を使うのが普通なんではないかという錯覚すら覚えてしまっていた。すべては太宰さんのせいだ。
「人探しに、川を使ったんですか？ その人、よく川に流れてたり？なんてことないですよね、ハハハ」
「うん、よく流れてんの」
彼女が人探しといったとき、もしかしたらそうなのではないかとは思っていた。
ので、思い切っていってみたのはいいが、まさか本当に流れているとは。
そして、敦は川をよく流れる人といえばあの人しか知らない。
「あの、もしかしてその人の名前って」
「名前？…太宰…太宰治だ」
あの日と同じような、強い風が吹いた。
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みぃ(プロフ) - 紅羽さん» コメントありがとうございます！頑張ります！ (2019年1月18日 22時) (
レス) id: 48f4ee6765 (このIDを非表示/違反報告)
紅羽 - とっても面白いですね！更新頑張って下さい！応援してます！ (2019年1月11日 20時) (レス) id: a17c6e8d22 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - yamamia38さん» こちらこそありがとうございます！ 更新遅くて申し訳ございません。これからもよろしくお願いします！ (2018年12月18日 18時) (レス) id: 48f4ee6765 (このIDを非表示/違反報告)
yamamia38(プロフ) - ヤバい！面白いですね！投票とお気に入り追加させていただきました！太宰さん推しだから嬉しいです。有難うございます！ (2018年12月16日 22時) (レス) id: bb32575fc9 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 青森県と大阪府さん» コメントありがとうございます！ちょっと今日本にいないので更新はできないので、ごめんなさい。勧めてまでくださり…照れます。これからも、よろしくお願い致します。 (2018年10月23日 23時) (レス) id: d688bcfef3 (このIDを非表示/違反報告)
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