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「誰だろ…心当たりが多すぎてわからない」


__ああ、この女の敵。

洗濯ものが洗い終わるまでの30分弱、此処を離れるわけにもいかなかった敦と太宰は、二人並んで談笑していた。


「でも、なかなかぶっ飛んだ人でしたよ? まず、入水してる時点で普通の人じゃないです」

「あれ、なんかナチュラルにディスられた気がする」

「気のせいですよ」

「なんか酷くなぁい?」

「酷くないです」


敦は確信犯だったが、培ってきたこのスキルをふんだんに活用して太宰の追及を免れた。

一方の太宰は少し不服そうにしているが、何時ものことだ、という風に納得していた。


「その人の名前はなんていうんだい?」

「名前、ですか?」


そういえば、一言しか教えてもらっていないような。

苗字なのか、下の名前なのかは定かではないが、とりあえずAという名前であることはあっているだろう。


「Aさん…って言ってましたけど…これ苗字ですかね?」フルネームを教えてもらえなかったんですよ__って…太宰さん?」


いままでで、驚いたような顔をして太宰さんは固まっていた。

うれしいような、しかし、少し悲しそうな。そんな表情をしている太宰に敦が混乱した。

なるほど、二人は知り合いらしい。それに太宰にこんな顔をさせるほどの女性。敦は一層興味がわいてきた。


「敦君…彼女、本当にAっていうのかい?」

「ええ、確かにそうでしたよ?」

「…私が知っているなかでAという名前の女性は一人しかいないのだよ」


敦は黙って聞いていた。

掛ける言葉は見つからなかった。


悲しそうな顔をして話す太宰を、敦は見たことがなかった。


「しかし、彼女であるはずがないのだよ。絶対に」





____それは、或る雨の日のことだった。






「彼女は、当の昔に…」






____ずっと心残りだった。






「死んだのだから」





____私は、あの日、師匠を、殺した。

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みぃ(プロフ) - 紅羽さん» コメントありがとうございます!頑張ります! (2019年1月18日 22時) (レス) id: 48f4ee6765 (このIDを非表示/違反報告)
紅羽 - とっても面白いですね!更新頑張って下さい!応援してます! (2019年1月11日 20時) (レス) id: a17c6e8d22 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - yamamia38さん» こちらこそありがとうございます! 更新遅くて申し訳ございません。これからもよろしくお願いします! (2018年12月18日 18時) (レス) id: 48f4ee6765 (このIDを非表示/違反報告)
yamamia38(プロフ) - ヤバい!面白いですね!投票とお気に入り追加させていただきました!太宰さん推しだから嬉しいです。有難うございます! (2018年12月16日 22時) (レス) id: bb32575fc9 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 青森県と大阪府さん» コメントありがとうございます!ちょっと今日本にいないので更新はできないので、ごめんなさい。勧めてまでくださり…照れます。これからも、よろしくお願い致します。 (2018年10月23日 23時) (レス) id: d688bcfef3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みぃ | 作者ホームページ:p://  
作成日時:2018年10月7日 16時

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