#燕青 花唇 ページ39
___あるレイシフト先にて
『しまった…。』
素材の在庫が無くてレイシフトした先で、この位なら単騎でも大丈夫でしょ!と慢心していたのが運の尽き。
霊力の乱れがある場所に迷い込んでしまい、マシュとの連絡も取れないまま一緒に来たサーヴァントである美男子に話しかけるように独り言を呟く。
「いやぁ、困りましたねぇマスター。ここから出られないとなると一生ここで2人きり…。何かが始まる予感がするねぇ。」
『呑気な事言ってないで食料でも探しに行こうよ。って私しか必要ないのか…。』
ここで彼らサーヴァントはもう人間でないのだな、と思うと先が重くなる。彼なら協力してくれそうというのがやはり本音だが。
「オレはサーヴァントとして顕現しているが、元々実在していたわけじゃないしなぁ。信仰対象にはなっているようだけど。」
私の考えを見透かしたように彼は言った。
水滸伝に登場する美男子、燕青が今回一緒に来てくれている。
『別にお腹は空いてないから大丈夫だけどね。……あ、この際だし燕青は何か私に言いたいことはない?』
前まではサーヴァント一人一人に向き合って、定期的に2人で話す時間をとっていたけどここ最近は色々忙しくて出来ていなかった。
辺りも平穏な土地だし、じっくり燕青と話してみたいと思った。
「へぇ…そうだねぇ、マスターは 恋 したことあるか?」
突飛な話題に『うぇっ』と素っ頓狂な声が思わず出てしまう。
私は適合者として集められる前、普通の人というありふれた日常に居た人間の一人。恋の一つや二つ、した事はあった。
『一応あるよ。でもどうしてそんな事聞くの?』
私がそう聞くと、彼は「あー、」と珍しく歯切れの悪い言葉を零した。
がしがし、と男らしく頭を掻き私を見つめていたその瞳を地面へと移した。
「オレはよ、物語の中でだが孤児だった。忠誠を誓った人に愛情を注いだとも解釈されるときがある。……だが、オレに愛情を注いでくれた人はまだ存在してないんだよ。…わかるかぁ?」
確かに、彼はそうだった。
何事にも才があり、見た目まで恵まれた彼には ただ一つ、愛情というものが欠けていた。
物語の中であろうとなかろうと、それはその人の人生。周りとの差が浮き彫りになればなるほどその差を埋める何かに執着し始める。
彼は私にそう告げると、「まっ、こんな奴何処にでもいるけどな。」と打って変わって何時もの明るい声音で言った。
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にょると(プロフ) - 愛里さん» こちらこそリクエストありがとうございました!!またありましたら宜しくお願いします。 (2020年2月26日 23時) (レス) id: ac6d2afe74 (このIDを非表示/違反報告)
愛里(プロフ) - にょるとさん» 孔明先生かっこいいです。ありがとうございました! (2020年2月26日 20時) (レス) id: 95c5af7e07 (このIDを非表示/違反報告)
にょると(プロフ) - えのぐさん» コメントありがとうございます!サーヴァントの表記直したつもりでしたがまた見直してみます!ありがとうございます。アンコールですか了解しました!!ドロ甘で書きますね(握手) (2020年2月16日 2時) (レス) id: ac6d2afe74 (このIDを非表示/違反報告)
えのぐ(プロフ) - それと、リクエストです!初期鯖ですこすこな始皇帝と言いたいところなんですけど多分(きっと)(おそらく)難しいと思うのでアスクレピオス先生アンコールってできるでしょうか…このコメント見れててなおかつ小説を綴る活力があればお願いします!! (2020年2月16日 1時) (レス) id: 6a2a84fe35 (このIDを非表示/違反報告)
えのぐ(プロフ) - 初めまして!!アスクレピオス先生100Lv勢なので(そういうことです)超ヒョッ…(尊死)ってなりました。あと細かいと思うんですけどサーバントではなくサーヴァントだったはず…です。間違ってたらすいません!! (2020年2月16日 1時) (レス) id: 6a2a84fe35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にょると | 作成日時:2019年8月2日 22時