22〜うちは〜 ページ22
【「ねえマダラお兄ちゃん」
「ん？ってうお！！どうした？A」
ぐずりながら枕を片手に入ってきたAを慌てて抱きしめて膝に座らせるマダラ
Aはぎゅーっとマダラを抱きしめ胸に顔を埋めた
「何か悪い夢でも見たか？」
マダラが優しく問いかける
こくんと頷くA
「お兄ちゃん
私とっちゃった」
Aの言葉に驚いたように目を見開いた後すぐに目を細めてAの頭を撫でた
「お父さんたち、怖くて
あったかいの、でも、すぐ冷たくなっちゃった」
「Aのせいじゃねぇ
時代のせいだ、A
そうしないと生きられない世界なんだ
お前は何も悪くねぇ」
「でも…」
「A」
Aの言葉を遮るように名前を呼ぶマダラ
Aがパッと顔を上げるとマダラはいつもと変わらない表情でAをぎゅっと強く抱きしめた
「…忘れろ
お前は何も悪くない
そいつは、オレが殺したんだ
父さんも認めてくれる
お前はオレ達の妹だ
そのまま、ずっと生きてオレ達のそばに居てくれりゃ何したっていい
オレたちのために生きてくれ」】
Aがゆっくりと目を覚ます
軽く辺りを見回すと誰もいない
所々治りかけのドアから月明かりが漏れている
一つ寝返りを打つとAは目を瞑る
【「お前はもう十年も前から
また一つ寝返りを打つ
【「もっと気楽に生きてもいいんじゃねぇか
この世界にはお前を縛るもんなんかねぇんだからよい」】
ばっと起き上がるA
はぁとため息をついた後Aは窓から外へ出る
裸足で地面を走る
枝や木で足が切れる
凶暴な動物達が敵意剥き出しで出てくる
しかし、Aは脇目も振らずに走り続けた
「はぁ、はぁ」
体が鈍っているせいか息が切れていく
ざっと砂を踏み締めるとそこに広がるのは海
ザァ…と少し荒めの波がたつ
そんな景色の中ゆっくりと足を踏み出すとチャプ、と海に足がつく
「お兄ちゃん…」
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作者名：ヘアリー | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/HAK/
作成日時：2022年12月3日 9時
