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それは、散歩をしている時だった。
いつだって嫌なことは、なんの前触れもなく訪れる。
嵐の前の静けさとか、主要動の前の初期微動だとかみたいに、そんな親切な予兆なんかない。
いつだって唐突だ。
「ホントにこいつか?」
「あぁ、間違いねぇ。灰谷の女だ」
男3人がかりで目と口を塞がれた私は、担ぎ込まれ、車に投げ入れられた。
あまりに劇的で、悲鳴すらあげる暇がなかった。
私の推測は、こいつらは蘭さんに恨みのある人間で、私のことを恋人と勘違いし腹いせに殺そうとしているのだろうということだ。
随分と情報集めが下手な連中だ。
私は恋人ではない上、今は蘭さんとは無縁の身だ。
「テメェ、灰谷蘭の女だろ?」
ちげーよ。と言いたかったが口を塞がれていて言えない。
答えさせる気ないなら質問してくんなカス。
蘭さんや竜胆さんと関わったおかげで良くも悪くも感覚が麻痺しているため、こんなチンピラは怖くない。
「アイツだけは許さねぇ。俺らの仲間を皆殺しやがった。アイツの大切なモンは全部奪ってやる」
やはり私の推測は正しかったようだ。
しかしどうしたものか。
怖くないのは心だけであって、実際に手を出されれば適わないし、逃げる手だてもない。
「にしても美人じゃね? 俺タイプだわ」
隣に座る男がいやらしい目で私のことをジロジロと見てくる。
プイッと窓の方に視線をやる。もう夜だ。
窓の外の暗闇に、反射した私がぼうっと浮いている。
しかしここであることに気がついた。
そして心の中でニヤリと笑った。
この男どもは確実に誘拐に慣れていない。
なぜなら自由を奪われているのは口だけで、私がほとんど抵抗しなかったおかげで、手足は拘束されていないからだ。
そして幸運なことに、スマホは男が座っている方とは反対のポケットに入っている。しめたぞ。マヌケめ。
私は男から見えないように、至って冷静にポケットに手を突っ込んだ。
ここまでくればあと少しだ。
「なぁ、姉ちゃん名前は?」
視線を窓から男に移し、睨みつけながらもポケットの中でスマホを操作し、今、それが完了した。
余談
新作は蘭ちゃんになりそうなのですが、インスピレーションが湧かない……。10話くらいまで書き出した話あるけどその後が詰まってボツになりそう……。
インスピレーションよ降ってこい。
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まお - 完結おめでとうございます!キュンキュンしながら読ませていただきました。蘭ちゃんの色気がものすんごいのは間違いない(確信) (2022年1月23日 7時) (レス) @page31 id: 4ee49a658f (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - 華さん» ありがとうございます!!良作を作れるよう頑張ります! (2022年1月17日 14時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
華 - 完結、おめでとうございます! これからも変わらず応援してます! (2022年1月16日 23時) (レス) @page31 id: a19f9ab121 (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - ゆさん» 最後まで読んでくださりありがとうございます!素敵と言っていただけて嬉しいです!☺️ (2022年1月16日 20時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - ATR214YSさん» 最後まで読んでくださりありがとうございます!楽しんでいただけて光栄です😌 (2022年1月16日 20時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みくる | 作成日時:2021年12月2日 19時