家族になって二日目 ページ24
『あ、の...』
戸惑ったように声をかけると、彼は口元を手で覆ったままサングラス越しにじろりとこちらを見た。なんだろう、この変な体制。風邪でも引いているんだろうか。そんな人を連れ出してもいいのだろうか。
「僕は芥川。ポートマフィアの狗だ」
『えっ』
「中也さんの命により此処に来た」
変な人だ。
自分でいうのも少し悔しいけれど、子ども相手にするような挨拶じゃないと思う。狗ってなに。そんな挨拶普通しないよね。中也さんが今朝言っていた、危なそうな奴にはついて行くな。今がそのときではないの？
不審がる私に行くぞと言ってすたすたと歩いていく男の後ろを小走りで追う。変な人だけれど、中也さんの部下だって言ってたから、多分悪い人じゃない。駄目だと思ったら走って逃げる。それで大丈夫。
*
繁華街に出ると、きらきらと輝く色があちこちに散らばっていた。人も店も植物も何もかもが新鮮な美しさを孕んで、私の前で踊りだしそうに生き生きとしている。この空間の空気を目一杯吸い込んで腹を膨らますと幸せな気持ちになれるのだ。
「今日は何が入用なのだ」
『にゅ、よ？』
「...今日は、何を、買いに来たのだ」
難しい言葉ばかりを使う彼に首を傾げる度、咳払いをして言い改めてくれる。それは有難い。でもそれなら最初からそう言ってくれればいいのにとも思う。
『うんと、服とかベッドとかそんなの』
「では大型量販店に向かうか」
『そこ、大体何でもある所って、中也さんが言ってた。』
「行ったことはないのか」
『うん』
その返答に考える素振りを見せた芥川が、沈黙のまま私の手を取った。それが彼に初めて触れられた瞬間だった。何でもないような顔をして、平然と。
私は、そんなこと初めてされたのに。
血の繋がりがある彼らでさえ、こんな優しい触れ方はしてくれなかった。記憶も定かでない幼い頃に亡くした両親は手を繋いでくれたことはあっただろうか。わからない、わからないけど。
あったら、いいなあ。
『どうして手を繋ぐの』
「此処から先は人が多い。別れてしまっては困るだろう」
『別れないために、人は手を繋ぐの？』
「世が如何かは知らぬ。だが少なくとも、僕は妹にこうしていた」
そっかあ、と呟くと男はそのまま手を引いて歩いた。先程よりずっとゆっくりと。私の歩幅とスピードに合わせて。繋がれた手は、冷たくても柔らかかった。
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苗代(プロフ) - 彩花さん» コメントありがとうございます。これからも頑張って更新していくので、ぜひご贔屓に。 (2018年7月18日 23時) (
レス) id: 4044429dac (このIDを非表示/違反報告)
彩花 - とっても面白くて一気読みしてしまいました!!!これからも頑張ってください！と (2018年7月17日 15時) (レス) id: 2058922f9b (このIDを非表示/違反報告)
#祭鼓*@harigaya mako*(プロフ) - 苗代さん» よろしくお願いしますm(__)m頑張ってくださいq(^-^q) (2018年7月13日 18時) (レス) id: 509492d3f2 (このIDを非表示/違反報告)
苗代(プロフ) - #祭鼓*@harigaya mako*さん» 初めまして、作品を好きだと言って頂けてとても嬉しいです。これからも出来るだけ頑張って更新を続けていくので、これからもよろしくお願い致します。 (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4044429dac (このIDを非表示/違反報告)
#祭鼓*@harigaya mako*(プロフ) - 初めまして(*^^*)こんにちは(・∀・)ノこの作品本当に大好きです(*≧∀≦*)更新頑張ってくださいq(^-^q)応援してます(σ≧▽≦)σ (2018年7月12日 23時) (レス) id: 509492d3f2 (このIDを非表示/違反報告)
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