爪一枚【d!】

31枚目 ページ31

貴方side











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『ぅ゛っ、、、』


あれからどれくらい時間が経ったのだろうか。
夢なのだから時間なんて関係無いだろうが、私にとっては永遠にも感じられる。
辺りを見渡せば場所は違えど、見た目は先程と変わらず同じ空間なのだと理解する。


『っ誰か、、だれかぁ、、』


か細い声でその空間に助けを求める。
だが、帰ってくるのは虚無で私の声はどこかへと消えていってしまった。
少しずつ、少しずつ呼吸がまた荒くなってきて、必ﾀﾋに息をしようと服を掴む。

緊張と、恐怖。
感情が私のなかで混ざりあって不安を生み出す。
その不安を押し穀すために、自分の頬を何度も叩く。
階段から落ちた時は痛かったのに、不思議と痛みはなかった。


『ふっ、、ふぅ、、ふぅ、、。』


なんとか息を整えて、気持ちを落ち着かせる。
平常心を保て。何も出来なくなる。
一つ大きく息を吸って、立ち上がった。
階段から落っこちた時のか、あの穴から落ちた時か、足に少し大きめの痣が出来ていて立ち上がる時に少し痛んだ。


『、、とにかくっ、、行かないと』


骨が痛む足を引きずりながら歩く。
明かりなんて無いのに、まるで前からそこを知っていたかの様に迷い無く進む。
何処へ進んでいるのか、それは分からなかったが。


『、、、ぁ。』


歩いて歩いて歩いて。
どれくらい歩いたのかは分からない。
ただ一心に歩いて、誰かを探した甲斐があったと思う。


『コネ、、シマ？』


名前を呼ばれ、後ろを振り返る時に短い金髪の頭がロウソクの火に照らされて幻想的に写る。


「A、、？、、ってその怪我どしたんお前！？大丈夫なんか！？」


続く

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