爪一枚【d!】

14枚目 ページ14

貴方side



『、、っもう。何なの、、？』


階段を上ってる最中、ふとどうしてこんなことになってしまったのか分かんなくなってきた。
トントンも、前までは普通だったのに頭おかしくなってるし、オスマンもいつも見たいな雰囲気じゃあ無かった。


『、、もぉやだぁ、、ﾋｯｸ、、』


疲れたし、痛いし、怖いし、ワケわかんないし。
感情がごちゃごちゃになりながら階段を上ってる足を止め、その場に座り込んだ。
元々、変な奴の爪が家に来たのが発端だ。
あんなの捨てれば良かったのか？
それとも嬉しいことだと笑ってる警察に無理にでも巡回とか、して貰えば良かったのか？
分かんない。何が正解で何が間違っているのか。


『うぅ、、ｸﾞｽﾞｯ、、誰かぁ、、。』


そう言っても誰も来ない事なんて知ってる。
でも人間、どんなにどん底でも無意識に助けを求めてしまう生き物なんだ。


ｶﾘｯ


『、、い゛っ、、！』


ふと、指の先端に痛みを感じる。
涙を腕で擦り、暗がりの中それを見つめる。
爪だ。私の爪が剥がれそうになっていた。
指の間からは血が流れており、その隙間に衣類が触って痛みを感じた様だった。


『、、い゛だっ、、！、、っ！いだっ、、！』


無意識に爪を剥がす。
まだ剥がれそうになっていない、普通の爪も一緒に剥がす。
親指以外の爪を剥がす。
指先に力が入らなくなっていって、残りの親指の爪が剥がせない。
何でだろう。何で剥いだんだろう。痛みでまた無駄に涙を流しても、頭は意外と冷静だった。


『、、いたい、、。』


剥がれた両手を見つめる。
計八枚。
親指以外の指が、真っ赤なネイルをしているみたいの赤く艶やかだった。


続く

ちな、作者はネイルの才能が皆無です。
全ての指からネイルがはみ出ます。

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