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《…どうして警察に連絡しなかったの》
《轢いた証拠はあっても目撃者はいない。過失致死になるだけだ。…だが、あれは殺人だ。罪を犯す者をどうしたら救えるのか。そう話していた妻は殺された。
救いがあるかと、この本を開いた。迫害されたキリシタンは、指3本を切り落とされた。昔見た遺体と同じだ。荷札には“ケモノ”という字。被害者は獣に見立てて殺された。》
《犯人は捕まらなかったが、今になってその気持ちが分かる。処刑人にも良心の呵責がある。》
堀内は、2度逮捕され、2度服役し、やり直すチャンスをもらった。
既に2度も許された。
それでも、まだ許されたいのか。
堀内を許すべきなのか。
麗子さんの形見である十字架を首からかけ、椅子に固定された堀内の指を生きたまま切り落とした。
ガマさんは淡々と語る。
《堀内は“許してくれ”と何度も叫んだ。俺は何度も答えた……“許さない”
許さない……俺は許さない。刑事だった自分を捨てても……俺は許さない》
《俺は、ガマさんがいたから刑事になった。ガマさんみたいな刑事になりたかった。いや、なるんだよ。定年まで勤めあげてさ…俺みたいなやつらをまっすくな道に戻して、やり直して…!誰でもやり直せるって、ガマさんが教えてくれたじゃん、俺に!!
…俺は、どこで止められた?いつならガマさん止められた?どうすればよかった?》
どこで自分は間違ったのか、いつなら止められたのか。伊吹は必死にガマさんに聞く。
しかし、ガマさんは伊吹に応えるのではなく“志摩君、工藤君”と俺達の名前を呼ぶ。
咄嗟に隣りにいる志摩と顔を合わせる。
《他の刑事さんもいますよね?聞いてますよね?逃げも隠れもしない。堀内を殺したのは俺だ。これは自首ではない。逮捕しろ。早いとこ死刑にしてくれ。》
《ッねぇ、ガマさんッ!》
名前を呼び続ける伊吹には答えず、ガマさんは俺達へ自供を続ける。
《俺のような人間を収監して、いつまでも飯を食わせるなんて税金の無駄だ》
「…突入」
刈谷さんの合図で捜一が突入する。
《殺害現場は風呂場。凶器は洗面所の戸棚。勝手に調べてくれ》
《凶器ありましたー!》
《蒲郡滋生。17時13分、堀内伸也の殺害および死体遺棄で逮捕する》
伊吹の目の前でガマさんに手錠がかけられる。
”殺しちゃダメなんだよ!相手がどんなにクズでも、どんなにムカついても、殺した方が負けだ”
__いつか、伊吹が言った言葉

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レイン(プロフ) - 続き待ってます♪ (12月5日 0時) (レス) @page38 id: 3196a4c901 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:if | 作成日時:2024年11月29日 21時