陸拾肆 ページ24
「！赤を確認！炎だ！！」
「ここら一体の遡行軍が消えました…鎬君」
「分かってる…あいつらには少し遅れるって伝えてくれる？」
「嗚呼、ちゃんと来いよ。最初の場所に」
「もちろん」
その場で最初にいた場所へ戻ってくるように言われたあと物吉と後藤は鎬と別れた。
鎬が向かったのはかつて自分が入れられていた蔵だ。
バレないように、暑いけど戸に触れて蔵を開けてはいる。案の定悲鳴をあげたりしている刀たち…そして奥には……
「兄さん！兄さん！」
「嫌だよ！焼けたくないよォｯ！」
「徳川さま！徳川さまぁｯ！」
前、自分に縋ってきた消えてしまった弟たち。順に無銘藤四郎、豊後藤四郎、新身藤四郎。そして縋り疲れている自分は死んだ目をしながら、炎の色を映し今の自分を映していた。
「お…れ？」
「嗚呼、俺はお前だよ鎬藤四郎」
「な、んで…俺に写なんて……」
「俺は焼ける。この明暦の大火の炎によって。ここ諸共」
そう話した瞬間に周りからは絶望の声が響いた。鎬はそれを聞きながら、目の前にいる自分に語りかけるのだ。自分が今、決めたことを全部とは言えないがぶつけるのだ。
「今の俺は、いち兄を許してしまった。でも、悔いはない。あれに助けられてしまった以上、あれを助けなきゃいけねぇ。それに、再刀とか写とか優遇とか考えない方がいい……俺は俺であって、それが俺の運命なんだ、限界なんだ。限界を超えよと言うけど、いつか終わりが来る。俺はそれを受け入れて戦い続ける」
「誰にだよ…あいつを許した俺に！戦えるわけがない！！」
「受け入れるからこそ戦えんだよ！！…俺は、あれを受け入れる前なんてちっとも興味を持たなかった……あいつを許したからこそ、守りたいものができた！救いたいものができた！！…全部を許せなんてご丁寧な事は言わない…けど、許してやってくれ。俺が許したんなら、お前もできるさ」
ヒリヒリと頬が熱を感じて警告を出す。
ああ、もうそろそろここは焼ける。跡形なく燃えて消えゆく。
「ごめんな、無銘、豊後、新身…兄貴なのになんもしてやれなくて」
他にも沢山いる藤四郎、国綱…粟田口派に詫びをいれ、他不動正宗と同じ正宗派や江派にも詫びをいれる。すまなかったと
「いいさ。ほら、早くお行き。炎が迫ってきた。我らを作る炎、我らを壊す炎…鎬、もしお前の時代で会えたらよろしく」
「はい、さよなら蜂屋江さん」
静かに振られる手を見て、鎬涙を殺しながら蔵を出ていった。炎がそこまで来ていた
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東雲 - この作品大好きです！ゆっくりでいいので続きを楽しみにしています(*^^*) (2021年4月13日 21時) (
レス) id: 3d369926d3 (このIDを非表示/違反報告)
空桜(プロフ) - お疲れ様です！のんびり待っててよかったです＾＾ (2020年1月31日 0時) (レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
鶴まじ天使(プロフ) - ﾔﾊﾞｲ好きだぁぁぁぁ…！更新頑張ってください！！ (2019年5月13日 22時) (レス) id: 2390bd5229 (このIDを非表示/違反報告)
葡萄月@刀アカ - ぎゃぁぁぁ！！神作品を見つけてしまった！！更新頑張って下さいっ！ (2019年5月13日 15時) (レス) id: a246b0d986 (このIDを非表示/違反報告)
自由陣(プロフ) - おお！ありがとうございます！覚えてますよー、ティッシュの方！最初のところの研究者の江成ちゃんは研究熱心…(？)の域を彷徨ってます← 更新頑張りますよ〜！ (2019年4月29日 20時) (レス) id: b178f06fe6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：自由陣 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/rekishilov1/
作成日時：2019年4月28日 15時
