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『…(ポヤポヤ』








今現在、小烏は日向ぼっこをしていた。
小烏自身、戦いというものに縁がないし、そもそも写になぜ戦いを求めるのか
それが分からないから、そこにいた
自分は確か、存在が危うい状態なのに何故いるんだろう
小烏はふと思った
付喪神は本来、ある条件が重なって宿るものだ
一、100年に1年足りない99年大切にされた物
二、人々の思いが詰まった物
小烏には二つ目が欠けていた
そんな自分がここにいていいのだろうか



「小松菜〜」




『…』




「小烏だ、兄者!それは葉物だろう!!」




この本歌は、兄弟は何故自分に関わってくるのだろう
偽物でしかない自分に何を重ねているのだろうか
意味がわからない



「まぁ、それはさておき。小日向」



「小烏だ、兄者」



「そうそう、大根」



『…』




この本歌は名前を間違えることが好きらしい
間違えられることは別に苦じゃない
小烏は忘れ去られた存在だから別に悲しいとか思わない



「今度ね、僕と弟の……まぁ、弟とほか何人かで出陣するってさ」



『やだ。小烏、出陣、無理』



「そうは言うがな、今の我らの使命は遡行軍を倒すことであってだな…」




『嫌だ』




写なんかに、代刀なんかに戦いなんてできるものか
ただ、打たれただけの鉄鉛だ
自分になんてできない



『小烏は、写…本物じゃない。付喪神でもない…戦うなんて、できない』


「……ッ!」



『小烏、寝る。起こさないで』



小烏は兄弟を避けた
自分に似た本物…いや、自分が似た本物とその弟の近くに行くだなんて無礼極まりない
そう言い残せば小烏は自室に向かっていくだけ






トンテンカン…ッ









トンテンカン…ッ









暗闇の中打たれるその刀はなんのためにあったのか
小烏にはわからない
自分の存在意義も、自分の思いも
全て、斬られたあの日から何もわからない
ただ、残ったのは烏の眷属だけということ
しかし、その烏に寄ってくる烏はいない






『(…小烏は、ひとりぼっちでいい……小烏はひとりが、好き)』

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中原三日月(プロフ) - 源氏兄弟と写しの心境がとてもよく分かり素敵なお話で考えさせられます。更新頑張ってください!応援してます! (2019年8月19日 17時) (レス) id: f8510eae2e (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - とても素敵なお話で楽しく読ませて頂いてます!!髭切と暗めの話が好きな自分にどストライクの小説で更新されるたびにワクワクして読んでいます!これからも更新頑張ってください!! (2019年8月19日 17時) (レス) id: e0cbedd7f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:自由陣 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/rekishilov1/  
作成日時:2019年3月25日 16時

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