16)中原中也と雪桜 ページ17
「おい」
空気が重くなり、地面に走る亀裂
「生温いじゃれあいはそこまでにしろや、手前・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
チラッと目だけ中原に向けるA
「気配もなく俺の近くまでなんざ、只者じゃぁねぇ・・・何者だ」
「ただも、何も、この人が私達を救ってくれた恩人さ。中也、いくら元相棒でもこの人に手出しするのは許さないよ」
「あの太宰からそんな言葉が出るとはな」
「!」
その時、割れた地面の瓦礫が浮かび上がった
それが太宰に向かって飛んでいく
「そんなの、私には効か・・・うわっ!?」
太宰は後ろから襟を掴まれ、放り投げられた
瓦礫は中原の顔横を通り過ぎていった
「・・・は・・・」
「あいたた・・・って・・・A、さん?」
Aの、振り上げられていた足が、瓦礫を蹴り返した事を物語っていた
「やるじゃねぇか・・・手前・・・!」
「下がりなさい、ポートマフィアの狗」
振り上げていた足を下ろす
「二人は私が引き受けた、これ以上の手出しは許さない」
「言うじゃねぇか、俺はマフィアだぜ?裏切者には容赦しねぇ」
「首領からは手を出すなと言われているはずよ」
「!?」
中原の表情が変わる
Aは妖艶に笑う
「手前、首領の知り合いか」
「その首領に聞いてみればいいわ」
コツンッと足音
気づけば、目の前に彼女は立っていた
「(またっ!?)」
「今日は見逃してあげる・・・次は容赦しないわ」
その瞬間、目の前が薄紅に染まる
「な、なんだ!?」
「異能力【闇桜】」
「Aさん!?」
「ひぃっ!?」
「「「は?」」」
引き吊った悲鳴に見れば、見慣れない男の姿
よく見れば、花びらが男の服を壁に縫い付けていた
「太宰、こいつ依頼の逃走犯だ」
「おや、本当だ。Aさんったらよく見てるねぇ・・・」
「軍警に引き渡すわよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
中原はAを見る
「おい、お前、名前は?」
「人に名を尋ねる時はご自分からどうぞ?」
「はっ!いい度胸だぜ・・・俺はポートマフィア幹部、中原 中也だ」
「武装探偵社所属、夏目 A」
「さっさと巣に戻りなよ、蛞蝓」
太宰は不機嫌そうにAの肩を抱く
「まぁ、早く寝たってそれ以上背は伸びる事はないだろうけどね!」
「うるせぇぞ青鯖!!俺はAと話してんだ!!A!次会う時を楽しみにしてやろよ!!」
黒い外套を翻し、立ち去っていった中原
「・・・よく吠える狗だ事」
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作者名:水琴 | 作成日時:2019年4月16日 7時