21)不幸な者 ページ23
「A、来い」
「・・・・・・・・」
鏡花を置いて個室を出る
「娘を軍警に引き渡せ」
「でも、」
「確かに、35人殺しならまず死罪だな。だがマフィアに戻っても裏切り者として殺されるだろう」
「・・・・・・・・・」
国木田はAの顔を見て、小さくため息をつく
「A、不幸の淵に沈む者に心を痛めるなとは云わん。だが、この界隈はあの手の不幸で溢れている」
「・・・・・・・・・」
「お前の舟は一人乗りだ。救えない者を救って乗せれば、共に沈むぞ」
立ち去る国木田
「・・・なら、どうして・・・・」
太宰さんは、私を助けたの・・・・
――――――――――――――――――――――
「〜♪」
鎖に拘束されながら、鼻歌を歌う太宰
入ってきた芥川はその様子に表情をしかめる
異能を顔の横に刺しても止まない歌に、とうとうその首に突き刺さる
「・・・ああ、君、いたの」
太宰に触れた異能は消え、傷一つなかった
「此処に繋がれた者が如何なる末路を辿るか、知らぬ貴方ではない筈だが」
「懐かしいねぇ、君が新人の頃を思い出すよ」
「貴方の罪は重い。突然の任務放棄、そして失踪。剰え今度は敵としてマフィアに楯突く。とても“元幹部”の所業とは思えぬ」
「そして“君の元上司”の所業とは?」
その瞬間、太宰の頬を芥川の拳が殴り付けた
「貴方とて不遜不滅ではない。異能に頼らなければ毀傷できる。その気になれば何時でも殺せる」
「そうかい、偉くなったねぇ」
何を言っても、太宰の表情は変わらない
「今だから云うけど、君の教育には難儀したよ。呑み込みは悪いし、独断専行ばかりするし。その点みやちゃんは純真無垢で覚えが良くて素直な良い子」
「・・・・・・・・・・・」
芥川は拳を握り、背を向ける
「貴方の虚勢も後数日だ。数日の内に探偵社を滅ぼし、人虎を奪う。貴方の処刑はその後だ。自分の組織と部下が滅ぶ報せを切歯扼腕して聞くと良い」
「出来るかなぁ、君に・・・」
太宰は不敵に笑う
「私の新しい部下は君なんかよりよっぽど優秀だよ」
ゴッ!!
鈍い音が響いた・・・・・
――――――――――――――――――――
国木田と別れたAは鏡花を連れて街を歩いた
「何処に行くの?」
「んー・・・楽しい処?」
「楽しい?」
「私も、あまり街を歩いた事がないの・・・だから、今日は一緒に遊ぼう・・・?」
差し出された手
「・・・うん」
鏡花はその手を握り、一緒に歩き始めた
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しの - とても読みやすくて好きです!夢主ちゃん可愛い...他作品の更新で忙しいかもしれませんが、こちらの作品の更新もぜひ!!待ってます!! (2023年3月26日 16時) (レス) id: 47a7886cb6 (このIDを非表示/違反報告)
きんぴらごぼう☆(プロフ) - 面白すぎて一気見しちゃいました!続きまってます! (2023年3月25日 7時) (レス) id: c534bb58ca (このIDを非表示/違反報告)
眠いちゃん - 続きをください…まじで (2023年2月28日 23時) (レス) @page36 id: acdc06f415 (このIDを非表示/違反報告)
琉亜 - て (2023年2月24日 2時) (レス) @page36 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
yukihina(プロフ) - 始めまして!呪術廻戦とのコラボ面白いです!!普通に作品として沢山読みたいです!!! (2022年12月31日 5時) (レス) id: 6f965a4945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水琴 | 作成日時:2019年9月28日 19時