39)頭は間違うことがあっても ページ7
太宰に支えられ、地下へと続く階段に避難した敦
「Qが敵の手にある限り、連中は何度でもこの大破壊を起こせる。唯一対抗可能な協力者である異能特務課も活動凍結された。これ以上は・・・」
「・・・・太宰さん、昔読んだ古い書物にありました〔昔、私は、自分がした事に就いて、後悔したことはなかった。しなかった事に就いてのみ、何時も後悔を感じていた〕」
敦は俯き、空の上で見た光景を思い出す
「それにこうもありました。〔頭は間違うことがあっても、血は間違わない〕・・・・空の上で、僕はある発想を得たんです。皆からすれば論外な発想かもしれない。でも僕にはそれが、僕の血と魂が示す唯一の正解に思えてならないんです」
「・・・どんな発想だい?」
「・・・・・・・協力者です。彼等はヨコハマで最も強く、誰よりもこの街を守りたがっています。組合と戦う協力者として、これ以上の組織はありません」
敦は、まっすぐ太宰の目を見る
「その、組織の名は」
「【ポートマフィア】です」
〔頭は間違うことがあっても、
血は間違わない〕
中島敦 〔光と風と夢〕
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「お邪魔します」
ノックの音と共に入ってきた二人に、紅葉は軽く目を見開く
「久しいのぅ。せっかく探偵社に囚われておるのに、会えぬと思っておったぞ・・・A」
「私も忙しいのよ。それに一人で貴女に会いに行くのも咎められてしまうのだもの」
困ったものよね、とチラッと織田を見れば、ふぃとそっぽ向く
「相変わらず過保護にされておるのぅ」
袖で口元を隠しながら笑う紅葉
「して、何の用じゃ?そなたがわざわざ出向いて、ただ妾に会いに来た訳ではなかろう」
「ふふっ」
Aは懐から一通の黒い手紙を取り出し、紅葉に差し出した
黒に、桜の絵が描かれたものだった
「もうすぐ治が来て、貴女に招待状を渡して、解放するでしょう。これを一緒に首領に・・・・リンタロウさんに渡して下さい」
「!そなた・・・」
ポートマフィアの首領である森を、その名前で呼べるのは限られた人のみ
「この手紙は探偵社ではなく、私、夏目A一個人として、送るものです」
「・・・・あい、わかった。探偵社はともかく、そなたからの頼みを断る訳なかろう」
紅葉は手紙を受け取り、大事に懐にしまう
Aは微笑を浮かべる
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作者名:水琴 | 作成日時:2019年7月15日 1時