35）予測された行動 ページ3
「事務員を〔餌〕にしただと！！？」
「直ぐ避難すりゃ間に合う。その上組合はお宅等が動く事を知らねぇ。楽勝だ」
「っ・・・乱歩、奴の言葉に嘘はあるか」
「無いね、残念ながら。こういう時は真実が一番効く」
「・・・・なるほど・・・マフィアらしいやり方だ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
織田は険しい表情をする
Aは俯く
「穴だと判っていても探偵社は落ちずにはいられねぇ。首領の言葉だ」
勝ち誇った笑みを浮かべる中原
けど、そこで小さく響いたのは小さな笑み
「ふふっ」
「あ？」
「A？」
Aは、くすりっと口の広い袖で口許を隠し、笑った
「そんな事、私が気づかないとでも？既に手は打ってありますわ」
「は？」
それは中原だけではなく、仲間たちも驚く
「非戦闘員たちにはある程度の対処法を教えてありますし、狙われる可能性のある所にはあらかじめ“用心棒”を置いてありますので心配いりません」
「は、はあぁぁ！！？」
「この私が、ポートマフィアの首領の考えがわからないと思いで？」
ふわりっと笑うAに、あんぐりとする中原
「て、手前・・・太宰かよ！？」
「まぁ？やぁね。私は夏目 Aよ？」
「知ってるわ！！そういう意味じゃねぇ！！」
「貴方って五月蝿いのね。わかったからさっさと帰りなさいな」
私達は忙しいのよ、と付け加え、犬猫を追い払うように手を振った
「・・・A・・・；；」
苦笑を浮かべる織田
「うぐぐぐっ！！」
悔しげに震え、すぐに大きなため息をつき、しゃがみこんだ
「手前は、相変わらず食えない女だぜ・・・」
「そうかしら？」
「Aはいつもこんなんだと思う」
「手前が探偵社の人間じゃなきゃ、うちに勧誘したいぐらいだぜ・・・」
立ち去る中原を見送り、Aは携帯電話を耳に当てる
電話の相手はすぐに出た
「時期そちらにお客様がいらっしゃるので、お相手をお願いします。非戦闘員は逃がし、迎えの機関車に乗せてください」
形のいい唇に笑みを描く
「方法はお任せしますので、宜しくお願いします・・・・・煌兄様」
「あぁ、わかった」
携帯電話をしまい、さて、と立ち上がる黒を纏う男
その手には、黒い太刀
「・・・行くか」
血のように赤い瞳に鋭い光を宿し、目標を見据えた・・・・・・・・・・
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作者名：水琴 | 作成日時：2019年7月15日 1時
