コートに舞う天才ペテン師

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『違うぞジン！！もっと前に手を出すんだ！！そんなんじゃ弾かれて終わりだ！！』

『筋力が足りないからだな。細すぎる』

『体幹がブレブレだ』




W杯が終わり、俺はすぐにロシアに飛んだ

昨シーズンまでいた強豪クラブチームではなく、スタメン出場できるチームへ合流し

監督や選手たちと最大限コミュニケーションを取った




『…ジン』

『はい！』

『楽しいか？』

『…え？』



俺に話しかけてきたのは、同時期に入ったアメリカ代表のWS




『楽しいのか？教科書通りのバレーをして』

『…教科書通り？』

『学生バレーがしたいなら日本に帰って大学にでも行け。今のジンは見ていて何の魅力もない

いいか？教科書は捨てて新しいバレーを求めろ
世界を見るんだ、ジン』

『新しいバレー…？』

『…ペテン師になるんだ。誰も想像がつかないような選手に

お前はサーブもいい、ブロックはまだ開発途中だがスパイクだっていいもの持っているんだ
そう簡単に人はWSとMBを掛け持ちできたりしないさ。…でもお前は違う。やるんだ、必ず


自分を磨け。いいな？』

『…わかったよ。



ーーアンダーソン』

『まずはこのチームを救わなきゃ、だな笑』




昨シーズンは14チーム中13位だったウラル・ウファ

そんなチームの外国人枠に入ったアンダーソンと俺…



『…良い目だ。』



俺をペテン師だと言い始めたのは、アンダーソンだった






ーー2016年 4月



3月に全日本の発表があり、俺は呼ばれることはなかった

ウラル・ウファは14位中9位という結果でシーズンを終え

俺は再びゼニト・カザンに移籍した

代表に選ばれた選手以外で練習をする中、俺は監督に呼ばれた




『ーー追加招集？』

『あぁ』




帰国の準備をし、飛行機で日本へ帰る

オリンピック最終予選を控える全日本…






"ーーまた神が決めたぁぁぁあ！！ロシア帰りのペテン師がまた日本に得点をもたらしました！！"




"チームの始動から1ヶ月後に追加招集を受けた神A！2015年W杯は出番に恵まれず、悔しい思いをしたまま向かったロシア。見事大爆発しチームに大きく貢献しました！技術も洞察力も何もかもパワーアップした天才ペテン師！
強豪相手にどんどん点をとっていきます！！"





しかし激闘虚しくオリンピックの出場権を獲得できなかった男子バレー日本代表




…こんな日本、もう無くさなければいけない





「…変えよう、俺たちで」



そんな言葉に祐希とマサは頷いた



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