第56話 嫌な予感 ページ7
ズドドドドッと走る長谷部さんの後ろは砂煙が立ち籠め、長谷部さんの走るスピードといい蹴り力といい、その般若まがいの顔といいとにかく素晴らしいものだった。
あまりに長谷部さんに関心がいっていた為、さっきまで泣いていた彼奴を忘れていた。
鶴「………」
あ「はひっ、いたたたっ!」
いきなり頬を掴まれたと思えば思い切り引っ張られた。その白太刀の顔、すっごい不貞腐れていた。御免なさい、忘れてた本当に。
長「見習い様ぁぁあああ‼」
あ「ひっ、」
白太刀に気を取られている隙に到着した般若長谷部さん。この人怖っ、こんなに速い人いる⁉
到着早々ガシィッと肩を掴まれた。
長「見習い様っ、お怪我などは御座いませんか⁉」
あ「へ?あ、だ、だだ大丈夫です、はい」
長「ああ、こんなに濡れてっ。風邪を引いてはお身体が辛くなりましょう」
鶴「長谷部、俺も濡れているんだが?」
長「貴様は関係ない。見習い様、この長谷部が温めて差し上げます。見習い様を渡せ」
鶴「嫌だ」
長谷部さんと同時にえ?、という顔をしてしまった。この白太刀が離さないと言わんばかりに、またも抱き上げている腕に力を込められた。
バチバチと何故かバトルが繰り広げられている最中、次に現れたのはショッキリーヌ……光忠だった。
燭「大丈夫だった⁉」
あ「あ、はい。大丈夫です」
燭「寒くない?怪我は?」
あ「あはは、大丈夫ですって」
完全にお母さん。
色々と心配をされながらも私の姿を見てホッとしているのか、擽ったい微笑みを向けられた。
……のも束の間、光忠が横に飛ばされぐいっと無理矢理引寄せられ、女ならぬくぐもった声を出してしまった。
燭「おっと、」
鶴「あっ!」
さっきまで視界は白に染まっていたが、一瞬のうちに藍色へと変わり、絶対外見からではわからない逞しい身体と腕に抱き締められていた。
あ「みか、づき…様?」
三「……良かった、無事だったのだな」
堂々としていた姿は何処へ、覗き込んだ三日月の双眸は微かに揺れ身体も僅かに震えていた。
ぎゅうと抱き締めて、大丈夫ですと(面の下で)微笑んでは、読み取ったのだろう柔らかい表情をして、同様ぎゅうと抱き締められた。
ふと、最後の刀の霊圧を感じ取り三日月さんから身を離しその彼を見た。然し彼は何処と無く茫然と私を見て、距離を取るように足を止めた。
どうしたのだろうか?
そう思ったと同時に再び鳴り止んだ警鐘が頭に響く。
俯く彼に、酷く嫌な予感がした。
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十六夜 - えぇ、鶴丸落ちになりそうなんですが(汗)わたしは、三日月推しです!!! (2018年5月17日 3時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 続きは、まだでしょうか?早く続きが読みたいです!! (2018年3月30日 11時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うぉぉぉ!!!すごく面白いです!!!今後の展開も楽しみです! (2018年3月6日 22時) (レス) id: be8945b53e (このIDを非表示/違反報告)
白紫乃(プロフ) - とっても好きなお話です!更新お待ちしております! (2018年2月21日 20時) (レス) id: 43803e668e (このIDを非表示/違反報告)
霜月 - 鶴丸は、夢主が好きなんですね。でも、私としては三日月落ちがいいです!!三日月、大好きです! (2018年1月14日 15時) (レス) id: 51d1ba9355 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミコ | 作成日時:2017年8月28日 12時