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それから、少年との生活の日々は続いた。
時には会社近くまで迎えに来たこととかもあって、それはもうバレるかもしれないなんて考えてドキドキした。当の少年は全然平気な顔してるけど。
「明日飲み会だから遅くなるね」
「えぇっー、最近多くない?俺っていうものが家にいるのに……」
「確かに最近多いかも。ごめんね、少年。明日はなるべく早く帰れるようにするから」
しゅん、と構って貰えなかった犬みたいにしょげている少年の前にしゃがんでサラサラしたその髪を撫でる。
「ホント?」
「…なるべく、頑張る」
「ちゃぁんと約束して!」
「約束します」
「そ、言ったね?」
小指を絡ませて指切りして約束を交わして。
「明日の飲み会の場所、どこ?」
「えーっと…最近できた駅に近いところだったかな」
「ふぅん」
少し不満げに頬杖を着いたまま、そう声を漏らした少年。
その行動に首を傾けながら、靴を履いて鞄を持って玄関の鍵を開けた。
「いってらっしゃい、オネーサン」
「…うん、いってきます」
_____
仕事が終わって始まった飲み会。
結構皆もお酒が入ってるみたいでどんちゃん騒ぎ。
ちなみに私はお酒には強いのでまだまだ平気。
時間を見るともう日付が変わりそうな時間。…今日はなるべく早く帰れるようにするから、なんて約束したんだから帰る準備でもしようかな。
「えっと、…じゃあ私はこれで、」
「え、未神さん全然飲んでなくない?」
「え、や、あの」
相手は部長だし、あんまり強く出られない。
手首を掴まれて固まっていると唐突に片方の手首を掴まれた。
「A、」
「……し、ょうね、」
「悪いけどこの人、俺のだから。
行こ、A」
誰の返答も聞かずに。
少年は私をそのまま外に引っ張り出して明るいネオン街を2人で歩いた。
「少年、ごめんね。迷惑かけちゃって」
「別に、俺がしたくてしたことだしAは気にしなくていいヨ〜。
ねぇ、俺これからAって呼んでもイイ?」
「うんまぁ…別にいいけど」
満足気に笑って肩を揺らす少年。
そして、家に帰るなりぎゅうっと腰辺りに抱きついてきた少年。
「え、少年、どうしたの?」
「……あまね」
「あまね?」
「俺の名前。ちゃんと呼んで」
そう言って最後に「まだまだ一緒にいるんだから」なんて爆弾発言を落とした少年…いや、あまねくん。
離れられないのは案外、私の方かもしれないなあ、
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ろい(プロフ) - さくらさん» ありがたい言葉です!すっごく嬉しいです、これからも更新頑張ります!! (2020年3月10日 23時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 長々と書いてしまいそうなのでまとめて、文章が凄い好きです!更新頑張ってください! (2020年2月29日 23時) (レス) id: f3613561c3 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - みわさん» 司くんを書くといつもこうなっちゃいます……、、完全に私好みです、すいません (2020年2月17日 1時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 月ヶ瀬@猫さん» コメントありがとうございます!頑張りますー! (2020年2月17日 1時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
みわ - 司くんえちえちですね、、すきです (2020年2月16日 22時) (レス) id: 5664b5d869 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろい | 作成日時:2020年2月15日 20時