生徒会長様。 ページ13
『あやとり』
今日も君は、失くしたものを拾い集めに子どもの消えた砂場を歩く。
それを少し後ろで見守るのが僕の役目だと、自己満足でそう思っていた。
「これからきっと、雨が降るよ」
ポツリ、と。
鈴によく似たその声を震わせるように君はまだ雲ひとつない空を見上げてそう言うのだ。
「Aちゃん、寄り道して帰ろうか」
決まってその言葉を言うのも僕でそれに頷くのが君。
こんな風に、手を伸ばしたくらいじゃ届かない距離で傘のないフリをして話した日はいつだったっけ。
「雨、止まないね」
「……寄り道したから」
降りしきる雨の中での雨宿り。
濡れてすらいない僕らの服装とは似合わないくらい雨がよく響いて降り続ける。
その間も君は無表情なままで生きた人形のようで。
「時が、止まってしまえばいいのにね」
不意にその欲望が口から出てしまった。
どこか驚いた顔をして僕の方を見つめる君は降りしきる雨をみてそっと呟くように、返答をするように口を開いた。
「…そうだね」
そうやって君は言ってくれるのに。
この世界は何ひとつとして、僕らのお願いなんて聞いてくれないんだよ。
ソッと目配せをするように隣にいる華奢な君を見つめた。
思い返せば映画みたいな恋をするほど僕は幸せだった。それでも僕はそれに気付いた時から分かっていたんだ、この世がやがて終わっていくことを。
「世界が、泣いてるみたいだね」
綺麗な言葉が耳をつんざく。
まだ降り続く雨に手を伸ばして、それはいとも容易く手の甲に当たって滑り落ちた。
きっと僕は悲しいままだ、だって雨には手が届くのに君には手を伸ばしたくらいじゃ届かないんだから。
「生徒会長様は大丈夫なの？」
「え……」
「生徒会の仕事とか、…大丈夫なのかなって」
「………大丈夫だよ」
……この呼び名だってきっと僕のせい。君にこの呼び方をさせてしまっている僕のせい。
今この瞬間だけ。心の糸を手繰り寄せ、結び目にも気付いて解けた糸は結わいても決して結び目は切れないように。そしていつかその先に気付くなら。
「Aちゃんは僕を忘れてくれる？」
これで、最後の嘘にしよう。君に嫌われるように呟いた。
ーーーーー
端的に言えば悲恋です。
もう長くないAさんに対して未練がましい想いに区切りを付けようとそんな言葉を発しました。
結末はご想像にお任せします。
ちなみに源兄弟は『糸』関連のお話でした。
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ろい(プロフ) - さくらさん» ありがたい言葉です！すっごく嬉しいです、これからも更新頑張ります！！ (2020年3月10日 23時) (
レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 長々と書いてしまいそうなのでまとめて、文章が凄い好きです！更新頑張ってください！ (2020年2月29日 23時) (レス) id: f3613561c3 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - みわさん» 司くんを書くといつもこうなっちゃいます……、、完全に私好みです、すいません (2020年2月17日 1時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 月ヶ瀬@猫さん» コメントありがとうございます！頑張りますー！ (2020年2月17日 1時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
みわ - 司くんえちえちですね、、すきです (2020年2月16日 22時) (レス) id: 5664b5d869 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろい
| 作成日時：2020年2月15日 20時
