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8回目 ページ8







「っ、……」



塞がれてるから声は出せない。
何とかして首を横に振って知らないことを伝えた。

すると目の前にいる子の雰囲気がガラリと変わった。



「オシオキ、ね」



口を塞がれていた手を離されたと思えば、口に噛み付かれた。



「いっ、たい、」

「…………」



ピクリとも表情を変えずに唇に噛み付いて自分の口についた血を舐めるその姿に狂気すら感じる。



「っ、()…!」

「やなの?嫌じゃないよね。
大体キミに拒否する権利は無いんだから、ウソツキさんにオシオキするのは当たり前デショ?」



そう言って唇を噛むのはやめてくれなくて、むしろもっと強い力で噛まれる。

抵抗する手なんてなんの意味もない、それよりも強い力でねじ伏せられるだけだから。



「エヘっ、オレねキミのこと欲しくなっちゃった」



花子さんと似た笑顔で可愛らしくそう言った子の口元は微かに赤く濡れていた。



「ねェ、普とはどこまでシたの?
ナカで気を許しちゃうくらい?それとも…ちゅーもまだ?」



花子さんに似た瞳の色が私を射抜き、だんまりの私相手にまた言葉を紡ぐ。



「あーあ、いいなあ。
普は仕事しながらキミとイイコト、シてたんでしょ?
…ね、オレともイイコト、シない?」



そしていつの間にか離された自分の手を見て、今度こそ逃げ出そうとしたら今度は目の前に現れた。



「はーあ、長く居すぎたせいでそろそろバレちゃったかなあ。
コレで最後ね、目閉じて。閉じてくれたらホントに解放してあげるっ!」



ちょっと猜疑を掛けつつも、ここは信じて素直に目を閉じる。
数秒後、首元と耳の後ろに微かな痛みを感じた。



「……ハイ、終わり!じゃあね、また遊ぼ?」



最後にちゅっ、と頬に口付けしていったその子は次の瞬間消えた。

まだ少し痛い首を押さえて瞬きを数回繰り返して目を擦る。



「…夢、にしてはやけにリアルだったような」



喋ると唇が痛い。
すぐ近くのトイレに駆け込んで鏡を見てみると唇が赤く染っていた。
そっと手を添えるとまだ血が流れていたみたいで自分の手にも赤い血が着いた。

マスク、持ってたっけ?
そんなことを頭の片隅で考えながら腕時計を見るともう授業が終わる時間。…あの子のせいで単位落としちゃった、次の授業は流石に出ないと。





「普、アレ見たらどんな反応するのカナァ〜?」

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作者名:ろい | 作成日時:2020年1月21日 0時

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