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12回目 ページ12







わざとらしいリップ音と共に離れた両者の唇の間には見せつけるように銀色の糸が繋がっていた。

花子さんはそれを手で切って、ぺろりと舐める。それから直ぐに怪しげな笑みを浮かべて口を開いた。



「ホントはキモチイイんでしょ。
誰も何も言わないからサ、そろそろ従順に成り下がってもイイと思うんだけど」



今さっきの最後に啄むキスとは違い、花子さんは唇を合わせた途端に啄んできたのだ。

今も脳内にビリビリした電流が通ったみたいで思考回路が停止しそう。
ボーッとしていると不意に生暖かいものが頬に押し付けられた感覚に一気に目が醒めた。



「あ、やっとハンノウしてくれた。目開けたまま寝てるのかと思ったヨー。
周りに誰も居ないしココだといっぱい声出せるからガマン、要らないね」



制服の黒い襟部分をクイッと下げてそこに舌を這わせ始めた花子さん。

鎖骨のくぼみとか肩とか、下着が見えそうになるのなんてお構い無しにぺろりと犬みたいに舐める花子さんを押し返そうと両手を前に出すとそれすらも関係ないように首筋から耳の周辺に舌を移動させる。



「ふっ、……っん」



左手の甲を口元に当てて声を出すのを抑えて押し殺す。でもそんなのを花子さんが見逃すわけなくて。



「声、ガマンするのしんどいデショ?
ほらー、声出しちゃえよ。俺にあのかわいー声、聞かせて」



まるで悪魔の囁きだった。

カリッ、と強めの力で耳たぶを噛まれてつい涙が出そうになる。
今さっきまで耳の後ろを舐めていたのに不意に少しだけ移動して次に舌を這わせた場所は中。
ぐちゅり、とはしたない水音がダイレクトに鼓膜まで響いて可笑しくなりそうだった。



「んんっ、やっ、!」



背中にも何かが這うように震えが止まらない。いつの間にか止めていた息を一気に吐き出す。



「まーた気絶するトコロだったじゃん。
アタマ、可笑しくなりそーだった?」

「……わかっ、ない」



舌がよく回らない、頭もグワングワンして気持ち悪い。
この症状にはどこか既視感があって嫌な感じもする。



「今日はここまでカナー。もーっと遊びたかったんだけど、Aが限界だし。
白杖代、Aのこと送ってってネー」



フラフラと落ち着かない足取りで学校を出て白杖代に送ってもらい、なんとか家にまでたどり着いた。

ちなみに放課後の記憶はほぼなかった。

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作者名:ろい | 作成日時:2020年1月21日 0時

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