11回目 ページ11
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目を開けると真っ暗だった。
それからボーッとして数秒後、自分が何かに乗っていることに気づいて体重を掛けていた身体を起き上がらせると下には花子さんが居た。
サァッと血の気が引いて急いで花子さんの上から下りようとすると腰に手が回された。
「もう行っちゃうの〜?」
「いやだってもう真っ暗だよ、帰らなくちゃ怒られる!」
花子さんも寝ていたのかいつもより声が少しだけ低い。
腰に巻き付いている腕から逃れようと引っ張るけどビクともしない。
「っ、はな、こさん、!いい加減に、」
「いい加減に、なに?」
私を射抜く目がなんだか書生服を着た子と酷く似ていて声が出ない。
「離して、…クダサイ」
つっかえた末、喉から出た言葉は自分でもか細く感じた。
敬語に驚いたのか一瞬だけそんな表情を見せてから次にはニコリと何かを企む表情に変わった。
あぁ、また。ロクなことがない。
「じゃあ、Aから俺にちゅーしてよ。ソレができたら離してあげるかも」
「ち、ちゅーって、」
「イイでしょー、別に。
ちょっと前にAが気絶しちゃう程のふっかぁいちゅーしたんだからサ」
真正面からそう言われると更に恥ずかしい。
顔を背けようとしても目の前には花子さんがいてニコニコ笑ってるし腰もしっかりホールドされてるから逃げ場もない。
鼻と鼻がくっつきそうなこの至近距離のままここにいることは避けたい。
「俺は別に大歓迎だけど。
こーんな近くにAが居て、しかも触り放題」
スルりと撫でられたのはおしり。
次には腰の形に合わせて人差し指でなぞり始めるしくすぐったい。
「は、花子さんっ、!」
名前を呼んで一瞬。
脳内イメージをした後に自分の唇と花子さんの唇を当てて離れようとした。
「っんー!!」
「コレで終わりだと思った?
ざーんねん、今日はいっぱいちゅーして消毒したい気分だから」
後ろから首に手を添えられそのままの状態を無理やりにでも維持される。
長い間、キスをしていると感覚がよく分からなくなってくる。それに気づいたのか花子さんは口を離した。
「な、いま、なに…?」
「最後に啄むの、そんなにキモチイイ?もういっかい、やったげよっか」
ブンブンと首を横に振ってさり気なく否定の意を伝える。
でも変わらず花子さんはニコニコしたまま。
「えー、エンリョとかイイからさ」
「ちがっ、ほんとに、」
私の意思は関係なくまたキスをされ、啄まれた。
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作者名:ろい | 作成日時:2020年1月21日 0時