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命日 JN side 1 ページ45

突然だが僕は、いや僕たちはヨンジュナのことをほとんど知らないと言って良いだろう。ジミナよりもさらに後に入ってきたヨンジュナはあまり多くを語らない人でそれは今も同じだ。いくら頼れと言っても全て自分で解決しようとするきらいがある。僕たちが頼りないわけではなくただ単にそういう性格なのだろう。


_____



何かの物音で目が覚めた。誰かが起きた音だろうか。時計を見ると夜中の3時。誰だろう。寝ぼけ眼でリビングに行くが誰もいない。気のせいだったのか。水を一杯飲んで部屋に戻ろうとした時ベランダの窓が開いていて人影が見える。


「まさか不審者…?」


せめてもと思ってフライパンを持って忍び足でベランダに向かいカーテンを少し開けてみてみると、そこにはヨンジュナが右ひじを手すりについて月を眺めている。1枚の絵画のような光景だがよく見てみると…


「泣いてる…?」


まだ出会ってから2年ちょっとしか経っていないが泣いている姿は初めて見る。驚いて固まっていたらヨンジュナが振り向いた。その顔は無表情で空虚な顔なのに涙だけが頬を伝っている。ひどく危うい雰囲気だ。


YJ「ジナ…?」


弱々しくかすれた声が聞こえ、はっと我に返る。ソクジン、しっかりしろ。ヨンジュナが僕を頼ってくれるチャンスだぞ。


「ヤーヨジジュナ、いつからそこにいたの?体冷えて風邪ひいちゃうよ。中に入りな。」


ヨンジュナは一瞬くしゃっと顔を歪めると腕でぐしぐしと涙を拭ってまた月を眺める。


YJ「ジナ、ごめん、止まらないや。もう少しここにいるからジナはもう部屋に戻っていいよ。止まったらちゃんと戻るから。」


そう言うから僕はそんな頼りないのかと少し落ち込む。泣いている姿を見られてもなおやんわりと頼ることを拒むヨンジュナを”僕は絶対にここから動かないぞ。だから僕を頼ってよ“という思いを込めて見つめる。僕の目を見たヨンジュナはリビングに入ってきてフラフラと僕に近づく。それから僕を抱きしめて声を押し殺して泣き始めた。


「ヨンジュナ⁉︎」


いきなりのことに驚いてまだ寝ているみんなを起こさないように小さく声をかける。


YJ「ごめん、ジナ。大丈夫、大丈夫だから…。」


僕の肩に顔をうずめてしきりに大丈夫というヨンジュナは僕にというよりに自分に言い聞かせているようだった。だから僕は震えるヨンジュナを包み込むように抱きしめると背中をぽんぽんと優しくたたき何も言わず落ち着くのを持った。

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作者名:ミキ | 作成日時:2021年10月26日 9時

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