発作の脅威（翔）9 ページ5
藍沢side
2週間...
3週間...
１ヶ月。
強制的に送っていた呼吸も、翔先生の自発呼吸でサポートといった形になってきた。
何日が経過しようとも翔先生が目が覚める事は無かった。
一度止まった形はデカい。
だんだんとご家族にも疲労の表情が見えてきた。
延命処置希望は...無し。
医療の形として植物状態と言っても過言ではない。
このまま無理に生かしていいのでしょうか...と智さんから何回も相談された。
呼吸はしているし、少しながら心臓も動いている。
でも、目が覚めない。
ご家族も医療関係者として悟っている。
様々な薬を投与し、何が効果あり、ないか...
この１ヶ月その連続だった。
エコーをしてみると、搬送されてきた当時より心臓の動きが活発になりこれだったら人工心臓も離脱出来るかもしれない...
希望があった。
まだまだ挑戦だなっとベッドの近くでデーター記入していた時に感じた何か。
翔先生の頭が少し...動いている？
急いで駆け寄り、反応を確かめる。
「...翔先生、わかりますか...」
その言葉に反応するように翔の瞳がうっすら開いた。
長すぎた月日。
あの場所で閉じられた瞳がまた確認出来た。
おかえりなさい、翔先生。
うっすらと藍沢の目には涙の膜ができ、微笑んだ。
＊
智side
「しょ...う...」
翔が目を覚ましたと連絡が来た。
どうしても早く行きたかったがやはり、ここは家族で...
翔の顔を見れたのは夕方だった。
僕が呼び掛けたら目を開いた翔。
まだ挿管されているから話せない。
翔の手を握ると握り返してきた。
まるで"ごめんね"って言っているかのように。
本当に良かった弟達が口々に言う。
そこに先生がやってきた。
藍沢「あと１週間ほど様子を見させて頂いて、転院の形でも...よろしいでしょうか。」
『もちろんです』
満場一致。
「藍沢先生、本当にありがとうございました。なんて言っていいか...」
藍沢「...私は何もしていないです。あとはご家族のお時間を...」
そういってどこかへ行ってしまったけど...
少なくてもあの先生じゃなかったら、翔は助からなかった。
これから...
翔には様々な困難が待ちわびてる。
想像以上の...
恐怖との...戦いが。
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作者名：Lima
| 作成日時：2019年8月24日 23時
