心のかさぶた ページ14
先輩side
A「やっ...ギャー」
翔くんが反応を確認した直後響く悲鳴。
普通の状態じゃない。
翔くんには１回離れてもらい、Aちゃんに集中する。
出血が酷い。
特に首の出血が酷く処置台の防水シーツにシミを作っている。
準備出来次第、すぐ手術。
悲鳴を最後にスタッフの声掛けに反応しなくなってしまった。
それと同時に手足が小さい痙攣をし始め、モニターが警告音を響かせる。
酸素マスクからエアクッションマスクっていう、強制的に酸素を送るマスクにして、スタッフに抑えて貰う。
「ごめんなー、痛くなるねー」
刺された胸元の出血を抑える。
そこに外科からコンサル。
外科「あちゃー、これはすぐやろ。もう準備整ってるから行こう。」
どうやら手術の前に患者の様子を診にきてくれたようだ。
その言葉に反応するようにスタッフも動き出し、Aちゃんをストレッチャーに移し、手術室へ。
外科「...ん？、この患者さんって。」
「そう、翔くんの妹さん、そこに本人がいる。」
カルテを確認していた外科の医者が一言。
外科「...着いてきてもらうか、兄ちゃんいたら心強いもんな、まぁ、翔くん次第だけどな。」
「翔くん、どうする？来る？」
処置室の端っこにいた翔くんを手招きして聞いてみる。
翔「行きます、行かせてください。」
その目はさっきと違い力強い。
＊
翔side
次にAに会った時は手術室。
すでに挿管がされ、青いシートで覆われている。
首と胸の部分を同時に手術をする。
ピッ...ピッ...
俺は手術は出来ないから見学。
でも、どうやら首の手術跡の縫合をさせてくれるらしく...
『兄ちゃんにやってもらったら嬉しいんじゃね？』って。
外科らしいちゃ、外科らしい？
有難くその役割を頂き。
胸の傷は浅いからなんとか大丈夫らしいんだけど。
首がさ。
手術をしている先生の後ろ姿から少し首を伸ばして見る。
首の血管を傷ついてしまったらしくガーゼを外すと出血が激しくなる。
その血液をチューブで吸う。
血管同士を繋げて...と手術をするらしくかなり高難度。
「はぁ...」
シューと特殊な糸で繋げている。
普段見ない事で思わず声が出る。
『じゃ、翔くん』
「は、はい！」
凝視していたら呼ばれた名前。
どうやら終了し、縫合って。
「ふっ...」
椅子に座り器具を持つ。
怖くない、大丈夫。
いつも以上に丁寧に糸を通す。
「よし。」
ようやく終わり、回復室へ。
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作者名：Lima
| 作成日時：2019年8月24日 23時
