心のかさぶた ページ13
翔side
今夜も長い長い当直だ...
憂鬱な気分でユニフォームに着替え、申し送りに参加。
俺が当直の時ってなぜか搬送が多い。
"魔の松宮"なんて声も聞いたり、無かったり。
俺は急患呼んでいない...呼んでいるのは急患..って呪文を言いながら仕事をしている。
そんな時に響く救急要請。
『女子生徒が道路で男と揉み合いになり負傷。出血多量です。搬送お願い出来ますか？』
その言葉に反応するように俺が頷き、スタッフが消防に伝える。
当直一発目。
揉み合いになって馬乗りにされ、首の動脈と胸をナイフで刺されたらしい。
ス「...また、事件でも発生したんですかね。」
「あぁ、そういえば...じゃないと良いけど。」
救急車が到着するまでにそんな会話をする。
でもそんな会話が出来るのは患者を見ていないから。
救急搬送口に救急車が到着し、ドアに集まる。
『先程から意識低下し、血圧が...』
「...A、A！」
首から出血し、赤く染まっている。
紛れもなくその姿は俺の妹...
は？
なんで、なんで？
スタッフも俺の妹ということもあり、どよめき。
先輩「...っしょ...」
思わず脚の力が抜けてしまい先輩に支えられる。
「...んで、ねぇ...」
先輩「行こう翔くん、お前が救わなくて誰が救うんだ。」
先輩に縋ってしまったが先輩にそう言われ我に返る。
なんとか立ち上がって処置室に行く。
「A？、翔にぃだよ、わかるー？」
近くに寄り反応を確認する。
到着ギリギリで意識が低下って情報もあるから、厳しいかな。
手を握りながら聞く。
A「やっ...ギャー！！」
「A！、おい、暴れるな。」
俺と目が合った瞬間聞いたことがない悲鳴を挙げるA。
ただでさえ出血が多量なんだ。
暴れさせてこれ以上出血をさせたくない。
「....すみません、よろしくお願いします、」
これ以上俺がAに関わったらさらにパニックになってしまう。
Aの治療をしたいが、ここは１回チームから離れることに。
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作者名：Lima
| 作成日時：2019年8月24日 23時
