白と黒と灰色と 2 ページ6
元々ポアロに入るために来たのにNOと言えるはずもなく、
と言うかあんなに可愛いコナン君を前に断ることなんか出来なくて、そのまま腕を引かれる事となった。
されるがままに扉を押し開けると、カランと軽快なベルの音が響く。
鼻に抜ける優しい珈琲の香りと、暖かな空気、そして目の前を歩くコナン君と安室さん。
あ、これたぶん私死ぬわ。
「いらっしゃいま……あれコナン君。後ろの方は?」
私が満ち溢れた幸せに心の内で涙を流していると、不意にそんな言葉が耳に入った。
流石コナン君の力と言うべきなのか、他のお客さんの対応していたはずの安室さんが直ぐに此方へと駆け寄ってくる。
あぁ、リアル安室ボイス。幸せすぎる。
「えっとねー、この人お店の外でうずくまってたの。気分がよくないみたいだから休ませてあげて欲しいんだけど、いいー?」
コナン君が猫をかぶりながらそう返す。
あまりの可愛さに叫び倒したい衝動を覚えるけど流石にそれは抑えておこう。
ここで騒いだら話がややこしくなりそうだもの。
「そうだったのか。席も空いてるし勿論いいけれど……失礼、お名前をお聞きしても宜しいですか?」
にやける顔を伏せながら話し半分に聞いていたら急に会話が止まるものだから、慌てて顔を上げる。
安室さんとコナン君の顔がこちらに向いている、ってことは今の台詞は私に向けてか!
『あ、えっと自分ですか?八神Aと申します』
「Aさん、ですね。只今テーブル席が満席でして、カウンターしか空いていないのですが構いませんか?」
『は、はい。大丈夫です』
返事を聞くと同時に安室さんがふっと柔らかな笑みを浮かべた。
私はアニメを見てるから偽物の笑みだとわかるけど、実際にみたら本当にこれが本性じゃないなんて分からないよ。
いや、案外本当の笑顔で安室透を楽しんでるのかもしれない。
「では此方へどうぞ。コナン君もカウンターで良いかい?」
「うん、僕オレンジジュース!」
コーヒーじゃないのね。と言いかけてすんでの所で止める。
危ない危ない。
うっかりでもそんな事言ったら怪しまれるし尋問タイムに入っちゃう。
まだ自分でも自分の事が分かってないのにそんな事になったら困る。
……気を付けなきゃ。
そう心に誓って、案内された椅子へと座った。
1234人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白菜(プロフ) - まいさん» もったいないお言葉感謝いたします…!更新の目処がたちましたのでまた徐々に更新していく所存でございます!まだ少しの興味がありましたら見ていただけると幸いです! (2019年12月31日 3時) (レス) id: 3f17e2e286 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 世恋さん» ひぇ、更新してなくて誠に申し訳ない限りです。また更新再開していく予定ですのでのんびりお待ちしていただけると嬉しいです! (2019年12月31日 3時) (レス) id: 3f17e2e286 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - とても面白くて続きが気になります。また更新されるのを楽しみに待ってます(^^) (2019年8月4日 23時) (レス) id: a6e5e5f5e4 (このIDを非表示/違反報告)
世恋(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください!! (2019年5月21日 10時) (レス) id: 2be61dc08d (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 杏さん» 閲覧有難うございます!文才なんて本当に無いんですが、皆さんにも出来るだけ雰囲気が伝えられるように頑張って書いていますので誉めてもらえて本当に嬉しいです!あむぬいばかりが転売されてる現状がとても悲しいですね… これからもこの作品を宜しくお願い致します! (2018年6月17日 23時) (レス) id: 3f17e2e286 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ