星屑は重ねる ページ10
「――きろ、……起きろ卯月!!!」
そんな耳を劈く声に後押しされて、アタシの意識は再び浮上する。
若しかしたら神様の願いを叶える魔法の反動で気絶でもしちゃってたのかもしれない。それと繋がってるのか、何か取りあえず喉が痛い。視界もぼんやりしているし、体が重くてどこも持ち上がらない……――？
……あれ、ここ、どこ……？
あの特徴的なアルコォルの匂いは相も変わらず漂っているけれど、あたしが今しがた横たわっていたのは紛れもないベッドだし、その周りはクリーム色のカーテンが覆っている。
神社は？ 胡散臭い神様は？ そもそも願いを聞いてくれるってのはどうなったの？
「ここは保健室だ」
少し息を切らした十六夜先生が、無表情のまま声色を変えず言い切った。
ああ、確かにこのベッド病室のにしては軟らかいし、けれど部屋のにしては固い気がする。
「それにしても、あんな威力の強い火魔法に当てられて無傷だなんて……奇跡としか言い様がない」
その言葉に自分の体を見下ろしてみると、成る程確かに傷一つ無い。制服にも穴だとか、埃だとかは無い。
死を覚悟していた割には、随分拍子抜けだなぁと内心薄ら笑いを浮かべた。
「多分無意識だとは思うが、あの瞬間黒い物がお前の体を覆った。恐怖を感じて居る時、冷静に防御魔法を展開するのは極めて難しい――お前は間違い無く、確かに卯月の子だよ」
『お前は間違え無く、確かに卯月の子だよ』？
じゃあ、今までは疑ってたとでも言いたいのだろうか。
そっかそっか、せんせーってば内心アタシの事小馬鹿にしてたんですね――そして、アタシの頭にはある妙案が浮かんだ。
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西夏(プロフ) - 綺麗な文ですね！ (2018年8月11日 13時) (
レス) id: 66c6e8cd96 (このIDを非表示/違反報告)
ましら(プロフ) - やはり、うたちゃんの文章は、日本の匠に作られたとても繊細で、太陽の淡い光を受けて佇んでいる硝子ｻﾞ細工が如く美しいよ。うたちゃんの文章をありがとう！ (2017年1月30日 16時) (レス) id: 512c5a6245 (このIDを非表示/違反報告)
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