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定期魔法試験 上 ページ3

「(着いてしまったぁぁあ……)」

生徒でごった返す教室の中、アタシはひとりぽつんと席につき、きゅっ、と制服の裾を握りしめ、俯く。

こんな杖、折れてしまえば良いのに、なんて何度と繰り返してきた理想をそっと呟いた。

――卯月遥、雪月魔法学校一年生。

とは言っても、魔法は五歳児でも使える初級魔法でも扱うことができず、この学校に入れたのも正直運と、そして親の七光りがあったからだ。

母様は口癖の様に、大きくなってから才能が開花する人もいる、と言っているけど、それもほんの一握り。

多分アタシは一生魔法とは無縁で、そして穀潰しとして生涯を終えていく。

……なのに!なのにどうして定期試験受けなきゃなんないのさどぉぉぉうせ最低評価だろ分かってるんだぞ!

「そろそろ移動だぞ」

背丈が余りにも小さくて、幼女の様にすら見える、うちの担任――十六夜輝先生が何時もの如く見栄を張って買った大人用のぶかぶかな濃紺のローブを引きずりながら教壇に立つ。

「先生、今日はちょっと張り切ってみたんだ」

つんっと上を向き、自信ありげにそのやわらかそうな腕を腰にやると、目が大きいのも手伝ってか、もう子供にしか見えない。

可愛い。

「じゃあ、そろそろ行こうかな。健闘を祈るよ?」

そうじゃないと僕らも楽しめないからね、と声をワントーン上げ、弾むように十六夜せんせーは云った。

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西夏(プロフ) - 綺麗な文ですね! (2018年8月11日 13時) (レス) id: 66c6e8cd96 (このIDを非表示/違反報告)
ましら(プロフ) - やはり、うたちゃんの文章は、日本の匠に作られたとても繊細で、太陽の淡い光を受けて佇んでいる硝子ザ細工が如く美しいよ。うたちゃんの文章をありがとう! (2017年1月30日 16時) (レス) id: 512c5a6245 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暁月そら | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年1月29日 20時

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