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足跡巡り ページ6

宿を出てすぐさま山を登った
あの母親が山と一言目に言っていたが、あれは自分の家の場所を言っていたのだろう

「鬼ノ襲撃ヲ受ケタ痕跡!!コノ先ニアリイイイイ!!」

『ご苦労はん』

黒い鴉が上空を一回りするとAの肩に有意義に乗った
明朝、水柱の捜索にと飛ばしたが鬼の襲撃跡を発見し戻ってきたのだ

これはあの一家が殺されたのは鬼の仕業と思って間違いない
まだこの近くにいると思うと雪を踏む足音にも細心の注意を払わねばならない

吐き出した息が白い。体に寒さが襲いかかってくる

(雪……また一段と寒うなってきはったなあ)

凍え死ぬのだけは勘弁だと苦笑を称え足を速く動かす
こんな時に熱燗でも持っていれば体も温まっただろう

酒を恋しく思っていれば嗅ぎ慣れた匂いが周囲を漂っていた
この先だと雪に足を取られぬよう駆けた先では先程見た一家が惨殺されていた

(……酷い有り様や)

虚空を見つめ光が灯らない彼らの目を見て初めてAが笑み以外の表情を見せた
せめてもの償いと言いたげにそっとその目蓋を伏せ近くにあった白い布を顔に被せる

そこでふと、気がついた

(娘はんがおらへん)

それに足跡が1つ、家に入ってから再び外へと出ている
母親の言っていた息子が娘を背負って何処かへと行ったのか、それとも第三者の誰かか

何はともあれこの足跡を追うことが先決だろうとAは跡を追った
足跡を見る限り雪に埋もれていないことからまだ真新しいものだ

(血が垂れとる……娘はんが負傷しとったとは聞いとったけんど、このままやと…)

迷いなく足跡が向かうのは山を下りる道、すなわち麓の町
深手を負った娘を医者にでも看せるつもりであろう行動に娘を連れて行ったのは息子である可能性が高いと女は思う
こんな山の中を訪ねる者なんぞいないからだ

一刻も速く彼等を見つけなければ、焦燥感に刈られる体を落ち着かせ足跡を追っていく

「やめろ___っ!」

近くの木々を縫ってたどり着いた崖下では鬼を捕らえた鬼殺隊員に向かって上記のように叫ぶ男子が何かを投げていた

対面→←託された願い



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蜜柑(プロフ) - あいうえおさん» 誤字指摘ありがとうございます…まさか主人公である彼の名前を間違えるとは申し訳ありません…… (2019年6月24日 23時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - すいません。「炭次郎」じゃなくて「炭治郎」ですよ。 (2019年6月24日 22時) (レス) id: d4ea0d195c (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - やよいさん» コメントありがとうございます…!やよいさんの作品も閲覧させていただいているので作者様からそう言ってもらえて嬉しいです! (2019年5月20日 17時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - はあ、、もう面白すぎです。。文才神がかってます。。大好きです。 (2019年5月20日 0時) (レス) id: 7302d83944 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蜜柑 | 作成日時:2019年5月6日 10時

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