検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:58,075 hit

託された願い ページ5

早々お目にかからない舞を見、もう一度とせがる子ども達を撒いて目的の水柱を探す

しかしいくら歩けど目を凝らしても鬼殺隊の隊服ですら見当たらない
今日はもう諦めようと近くの宿をとって夜を過ごした

その翌日。陽が辺りを照らし辺りの雪を溶かし始めた時間帯、それは見えた
子どもを3人連れた母親の家族の姿

「山の……息子と娘が…」

『落ち着きんさい』

その家族には影がない。大衆に馴染みのある言葉で例えるならば所謂幽霊、というもの

Aからしてみれば強い思念を持った魂、という認識だが、そこは置いておこう
青白く染まった母親の頬にそっと触れれば温もりはない

『あんさんはどないしてうちを尋ねて来たん?息子と娘と言うとったけど』

「家の中で娘は怪我を負っています……息子も恐らく、戻ってくる……どうか、二人を…」


子供想いな優しい母親の後で子供たちが不安げにAを見つめている
懇願するような瞳に幾つも見られ母親に似て心優しい子たちなのだろうと思った

殺された原因が熊か、それとも鬼か。後者ならば早々に向かわねばならない
けれど、その前にひとつ。忘れてはならない

『分かりました。その役目きちんと果たしましょ』

けんど、その前に。

頬に触れていた手を離し今度はその手で可愛らしい子供の頭を優しく撫でる
まだ自分が殺されたと分かっていない子もいるであろう
こんなにも幼いのに。守れなかった命を前に目蓋を伏せた

『せめてあんさんらが出雲に逝けるよう、舞いましょう』

言うや否や宿の中にも関わらず桜の花弁が吹雪となって部屋の中を踊る
呆気にとられた後、きゃっきゃっとはしゃぐ子供たちを眺め母親はたおやかな笑みを見せた

「ありがとうございます」

声が聞こえなくなれば家族は花弁に連れられていったのか誰も見えない
ひらり、2枚の花弁だけが畳に落ちていった

足跡巡り→←その女の名前は



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (63 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
127人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

蜜柑(プロフ) - あいうえおさん» 誤字指摘ありがとうございます…まさか主人公である彼の名前を間違えるとは申し訳ありません…… (2019年6月24日 23時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - すいません。「炭次郎」じゃなくて「炭治郎」ですよ。 (2019年6月24日 22時) (レス) id: d4ea0d195c (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - やよいさん» コメントありがとうございます…!やよいさんの作品も閲覧させていただいているので作者様からそう言ってもらえて嬉しいです! (2019年5月20日 17時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - はあ、、もう面白すぎです。。文才神がかってます。。大好きです。 (2019年5月20日 0時) (レス) id: 7302d83944 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:蜜柑 | 作成日時:2019年5月6日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。