嘘つきの私と最後の一年六時間目 (ページ5)

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期末の時間・二時間目ページ5

そこからは皆ひたすら勉学に励んだ
殺せんせーからの提案で自分の得意科目を教えあう。これなら教える側も理解が深まり、チームワークが強くなる

効果は覿面。苦手な数学と不安な理科に隙が無くなってる気がする

「へえ、奥田さんに理科教えてもらったおかげで数学的思考が前より理解が追いついてるじゃん」

理科は愛美ちゃんに、数学はカルマくんにと各教科が得意な人に教わって学ぶ
二人とも苦手科目が国語とあって代わりに私からも教えていたり

丸のついた小テストに威圧感半端なくカルマくんが竹刀を肩に乗せながら言うものだから反応に困る

「今までもだけど、Aちゃんって問題1つ解くのに中々時間かけるよね?」

『あー…うん。多分出題者の意図とか考えてやってるからかも』

「意図?」

最後の図形問題の応用にマークを書きながらカルマくんが不思議そうに視線を寄越す

『癖かなあ。意外と数学って難しそうに見えて簡単に答えを出せることもあるから』

そのせいで時間切れになることもあるけれどと頬を掻くとふぅんと興味の無さそうな返答が返ってくる

でもその視線がきちんと問題に移ったから興味がない訳ではないようだ

『…時間勿体無いし止めなよとか言われるのかと』

「そういう解き方もあるんだなって感心してただけ。まあ問題によるけど」

やり方なんて人それぞれだし良いんじゃないと頬杖をつくカルマくんにそっかと笑う

「もう図形問題も詰まったりしないなら国語のここ教えてよ」

『んー…あ、これね……』

●●●

テスト当日。本校舎内は禍々しい殺気で満ちており、浅野くんの言っていた地獄という言葉に納得がいった

A組の教室前を通ったら余計その気配が濃くなったからかなり気合い入ってる

「恐ろしく気合い乗ってるよA組。カルマにA、勝てんの?」

悪戯に笑う中村さんにもう一度殺気立つ彼等の様子を見て唸る

『どうだろう。カルマくんは?』

「さーねー、本気で殺す気ある奴がいたら手強いけど」

不敵な笑みを浮かべるカルマくんに思い当たる人物は一人しかいない

ちらりと横目で見下ろされたので渇を入れてほしいのかと思って背中を軽く叩いた

『私、すごくワクワクしてる。カルマくんとトップ取れるんじゃないかって』

「…俺と一緒が良かったの?」

からかうように言ったつもりだろうけど、一緒。その言葉がすとんと胸に落ちる

『……うん。一緒が良かった、多分これからも』

照れ臭くなってへへっと笑うと隣の彼が顔を隠して天を仰いだ