【HUNTER×HUNTER】運命とは厄介なものである。

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手刀のキルアと押し出しのゴン。
そう会場内で二人が話題になっていくのを他人事のように思えないのは、その話題の中に私の名前も混じってしまっているからだろう。

一蹴のA。

二人と共に突如現れた謎の女性闘技者。瞬きする間もなく一瞬…！その重く鋭く蹴りで次々と猛者共を沈めていくー！なんてカッコいいナレーションがついても、当人の私は恥ずかしいだけである。
念能力者から見たらとてつもなくお粗末な戦闘スタイルなのだろう。あんまりピックアップしないで欲しい。

キルアのように絶妙な手加減の手刀もできないし、ゴンくんのように真正面から向かう度胸もない私は単純に能力を使っての瞬間移動からの蹴りである。
おかげで数人が私が念能力者であることに気づいてしまったと思うけれど…。




「ンン…A、君は合格…◇」

『oh.....』


まさかその中に、コイツがいるとは思わなかった…。

早くもゴンくん、キルア、私と、三人ほとんど同時に到達した200階クラスへの入口にて。
そこで待ち構えていたこの特徴的な喋り方の変態の名前は、もうみんな知っているだろう…。

ヒソカなんでいるの…。
ストーカーこわい。




『…とりあえず一旦引こう、二人共』

「Aさんは…っ、なんとも、ないの…？」

「なん…で、お前は普通に立ってられるんだよ…！」



念も知らない状態でヒソカのオーラに当てられては、こうなるのも当たり前だ。苦しそうに床に膝をつくゴンくんとキルアに、ヒソカは楽しそうに笑う。勘弁してくだちい…。

200階クラスへと繋がる通路で、ヒソカに文字通り通せんぼされるのは、私ではなく二人。
この先には行かせないと言うヒソカの飛ばす念を、自動的にガードする私の身体と、もろに受けるゴンくん達を見て、私は久しぶりに自分が普通ではないことを思い出した。二人のが普通ではないけどな！
けど、このまま無理をしては二人が危ないし、とりあえず今は一旦引いて、念を覚えてから出直さなければ。
そうするために二人をどう説得しようか困っていると、後ろからウイングと名乗る念能力者が現れて、二人を説得してくれた。説得力…！


現在の時刻は午後八時半。私たち…主にキルアの登録期限の問題で、0時までに念を覚えて戻ってこなければいけないという。
この短すぎるタイムリミットに、最悪二人と受付前までテレポートして登録だけすませることを覚悟した私である。

お前念能力使えたのかよってキルア、黙っててすまんって…。



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