監督生「リリア先輩の手料理、美味しいです！」 (ページ12)

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悪食の申し子と薔薇の騎士ページ12

「監督生、リドルが倒れてしまったことに関して心あたりはあるか？」

「いいえ、全く……」

嘘だろこの子。

トレイ・クローバーは心の中で頭を抱えた。

どう見てもリドルが倒れたのはその弁当箱に詰められた、“食べ物かどうかさえもわからない何か”が原因に決まっているだろうが。

そう叫びたいのをトレイは必死に我慢し、深呼吸をする。
トレイは長男だから我慢できたが次男だったら多分我慢できなかった。

「えーっと、監督生、この弁当って監督生が作ったのか？」

「あ、はい！グリムのために作ったんですけどグリム、今日はサバナクローにお世話になるみたいで渡せなかったので……お二人にお裾分けしたんです！」

あーハイハイなるほどなぁ～

監督生的には完全に善意100%で悪いことをしているつもりは1ミクロンもないというわけか。うん、なるほど。

そんなタチの悪い無自覚ヴィランがいてたまるか！！！！

トレイは心の中で叫んだ。
新入生歓迎会でリリアが披露したシャウト並みに叫んだ。

トレイは長男だから心の中だけで我慢できたが(以下略)

「か、監督生は普段から料理してるのか？」

「いえ、時々です。普段はゴーストさん達がしてくれるので。あ、先輩知ってました？ゴーストさん達って家事が好きな習性があるらしいですよ！」

まあ、そりゃそうだよな。こんなダークマター毎食食べてたらグリム死んじゃうもんな。

あとゴーストにそんな習性ないぞ監督生。多分それゴースト達が全力で吐いた嘘だから。

「……ッ、監督生、今度一緒に何か作ってみないか？何、お前に違う系統の料理法でも伝授したいと思ってな」

「わぁ！嬉しいです！僕、基本的にはイタリアンぐらいしか作れなくて……今回のお弁当もイタリアン縛りだったし」

「待ってくれ、これがイタリアン？？？」

トレイは料理教室という名のとんでもない約束をしてしまったのではないかと冷や汗をかきながら、今度グリムに高級なツナ缶をプレゼントしようと決心したのであった。