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▽(赤葦視点)
二軒目の小洒落た居酒屋にて、Aさんは既にテーブルに伏して酔いつぶれていた。
先程まで懐かしい思い出話に花を咲かしていたはずなのに、どうしてこうなった。
理由は分かっているのだけど。
今日が久しぶりの休みだとこぼしたAさんに、「仕事大変なの？」と聞いた途端に、飲むペースがあがった。かなり。
止めるまもなく空になった酒瓶と、Aさんの丸まった背中に、今更ながら禁句だったのかもしれないと目頭を押さえた。
「Aさん、大丈夫？」
『ん、ぅ…』
ダメだこれは。もう少しこのままにしておこう。
様子を見ていた店員が、ブランケットを貸してくれたので、Aさんの肩にかけた。
その時に触れた彼女の髪に、目を細める。
…髪、伸びたな。
薄くした化粧も更に大人っぽくしていて、高校時代が懐かしく感じた。
何もついていない左手の薬指をみて、心底安堵した、なんて、女々しいことを。
相も変わらず、俺はまだ彼女のことが。
「……Aさん」
眠る彼女の頭を撫でながら、口元を緩めた。
「弱っているところにつけ込むような形になって、ごめんね」
酔いつぶれる前に、血涙を流しながら仕事をやめたいと語っていた彼女。
よほど仕事が大変だったのだろう、その目には睡眠不足やストレスからか、確かにクマができていた。
でもねAさん。
俺も、そろそろやめたいと思っていたことがある。
酔いが覚めたら、覚えているのだろうか。
日付が変わり客が減ってきたので、店員にブランケットを返して会計をすませ、眠るAさんをおんぶして、店をでた。
ｰｰｰｰｰ
▽
赤葦さんが教えてくれた二軒目のお洒落な居酒屋に入り、お酒を飲んでいた。
その後の記憶はほとんどない。
朝起きたら知らない家のベッドで寝ていて、ベッドからする香りと、近くのソファで寝息をたてている癖っ毛頭の彼に、赤葦さんの家だと理解した。
衣服は乱れておらず、彼がそういう人ではないことを知っていたから、迷惑をかけてしまったな、とだけ思った。
覚えていたのは、泥酔して、仕事をやめたいとひたすら愚痴っていた私に、
「じゃあ、俺の家で家事でもしてくれない？」
と、いつも通りの声で、私と同じくらい必死な瞳をした彼の言葉に、思わず頷いた、それだけである。
【赤葦京治 END】
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マニ。(プロフ) - 未確認歩行物体さん» ✉️。この作品もとても面白いです！これからも応援してます！ (11月22日 14時) (
レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
reia(プロフ) - 私、占いツクールで布教活動をしているのですが、この作品のシリーズ、とても好きなので布教してもよろしいでしょうか？ (2022年3月24日 22時) (レス) id: 0d7a47aa6b (このIDを非表示/違反報告)
未確認歩行物体(プロフ) - mooさん» はじめまして！わーい、たくさん褒めて頂きとても嬉しいです(*´∀｀*)こちらこそコメントありがとうございました！( ´ ▽ ` )/ (2021年8月9日 10時) (レス) id: a04ea61aea (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 初めまして、モテ期到来からの各ルートとオマケまで読めて最高でした！ありがとうございます！！ (2021年7月7日 16時) (レス) id: 36860c259a (このIDを非表示/違反報告)
未確認歩行物体(プロフ) - きゃーぽんさん» きゃーぽんさん、コメントありがとうございます！完結してから4年経った今でも、この作品を見つけて読んでくださった方がいる事がとても嬉しいですヽ(；▽；)ノお褒めの言葉まで頂き、本当にありがとうございます！！ (2021年5月18日 22時) (レス) id: d428059590 (このIDを非表示/違反報告)
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